オールド保守と新興保守の違い(その2)

以前取り上げた、オールド保守と新興保守。

この二つの保守の違いは児童ポルノ問題や表現規制問題に関する産経新聞の論調が

ぶれていたこととも大きな関わりがあります。


産経新聞には、年配で表現規制推進寄りのオールド保守と若く表現規制反対寄りの新興保守の

二つの勢力があり、せめぎあいをしているものだとおもいます。


産経新聞が大手紙の中でインターネットの活用に最も熱心なのは、新興保守の影響と思われます。

産経新聞の売り上げが伸び悩む中、ビジネス的な側面を考えると、オールド保守側も

ネットの有用性は認めざるを得ないということでしょう。


オールド保守は「有害情報」などの関係でネットを毛嫌いする傾向があるように思います。

だから、オールド保守はインターネットを規制しようとする傾向があるのです。

逆に、新興保守にとってインターネットは「『真実』を伝えるための武器」であり、

インターネットが規制されては困るのです。

そういった点でも、新興保守とオールド保守の間での見解の差異があると思われます。


新興保守が台頭し始めたのは2000年代に入ってからだと思われます。

新興保守に近い立場の有識者西村幸祐氏ら)が登場し始め、

オールド保守論壇との間のパイプが確立した状態が今の保守論壇ではないかと思われます。


どちらかと言えば、オールド保守に近い古くからの保守派の中にも、

インターネットの有用性について気付いた人がぼちぼち出始め、

その点については、一部のオールド保守論壇も、ネット規制批判、言論弾圧反対の観点から、

新興保守側ににじりよってくるようにおもいます。


すぎやまこういち氏がそれに近い典型的な例だと思われます。

1931年生まれという年齢にも関わらず、他のどの6、70代の論客よりも

インターネットの有用性について認めています。

クラシックカメラの収集を趣味にしており、著書も出版しています。

何よりも、アニメやゲームの仕事に携わるなど、オタクに近い属性でもありますしね。


行動する保守」論のダイジェスト

新興保守のうち、市民団体として街宣活動やデモ活動やなどをしている

行動する保守」と呼ばれるグループがあります。

その代表的な団体が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)です。


昔の左翼運動と同様に、「行動する保守」にも、過激化、先鋭化する傾向が表れています。

外国人参政権に反対するデモ行進を批判した人間に対し、集団で食ってかかったこともあります。

批判に対して「言論の自由に対して公然と牙を剥く」と発言しているように、

彼らは批判されること自体が気に食わないのです。

定番中の定番である朝日新聞毎日新聞ばかりではなく、在特会に対する批判的な記事を載せた

東京新聞に対しても抗議活動が行われています。

(私も差別を禁止する法律は大きな危険性をはらんでいると思いますが…)

要するに「俺様に盾突くヤツはみんな敵だ!!」ということ。

在特会には、公称7000人以上の会員がいるそうですから、いずれ派閥対立が発生して、

内ゲバが起こるのも時間の問題だと思います。



それだけではありません。今や、産経新聞まで反日呼ばわりされるご時世なのです。

なぜ、産経新聞反日呼ばわりされているかというと、産経新聞が主催する「産経志塾」の講師に、

防衛大学校学長の五百旗頭真氏が招かれていたからです。

五百旗頭氏は、歴史認識などの問題でしばしば保守論壇に批判されていますが、

それにしても、保守メディアの代表格の産経新聞をも反日呼ばわりするとは…

はたして、彼らから見て「反日」ではない人間が日本にいるのでしょうか!?


私には、それが不思議で仕方がありません…