ついに青少年健全育成条例委員会可決

性描写規制案を可決 出版業界、強く反発 東京都議会総務委 
 

 過激な性行為を描いた漫画やアニメの販売などを規制する東京都の青少年健全育成条例の改正案について、都議会総務委員会が13日午後、開かれた。民主、共産など3会派が「規制は最小限にすべきで、出版業界の合意が必要」などと意見を述べた後に、賛成多数で可決した。
 
 改正案は15日の本会議で採決され、成立する。
 
 出版業界は「作者が萎縮、創作活動に悪影響がある」「表現の自由の侵害」と強く反対しており、「作品に表現した芸術性、社会性などの趣旨をくみ取り、慎重に運用する」との付帯決議が付けられた。都議会の民主、自民、公明の3会派の委員が賛成、共産、生活者ネットワークの委員が反対した。
 
 改正案は強姦や強制わいせつなど刑罰法規に触れるか、近親者同士の性行為を「不当に賛美・誇張」して描いたものを規制対象とした。6月に最大会派の民主などの反対で否決された前回の改正案で話題になった18歳未満の登場人物を示す「非実在青少年」の文言は、石原慎太郎知事が定例会見で「役人言葉」と批判。今回の改正案では、削除された。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/101213/edc1012131408000-n1.htm

いよいよ委員会可決してしまいましたね…


それにしても、報道で第7条第2号の

漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

という箇所を簡単に説明しようとすると、「過激な性描写」とか、「刑法、民法に触れる性描写」とか、

かなり意味合いがずれた説明になってしまいますよね…

産経が使っていた「漫画児童ポルノ」なんて、さらにズレまくってましたし…


この模様を傍聴していた昼間たかし氏によれば、

松下玲子さん、最初からずっと泣きそう。起立しながら、さらに泣きそう #hijitsuzai

http://twitter.com/mangaronsoh/status/14173064065458176

とのこと。総務委員でもある松下玲子都議は最後まで反対だったのだと感じました。
党議拘束で賛成に回らざるを得なかったこと、あるいは幹部を説得できなかった悔し涙なのでしょうか…

10日の理事会で、都議会民主党の議員のうち半数近くが反対したとのことですが、幹部に押し切られてしまいました。


私としても非常に悔しい所です。

おそらく、本会議でもそのまま成立するでしょう。

第8条の不健全図書指定に関してが7月1日で、その他の漫画規制に関する箇所が4月1日

当面は今後の動向を見守るほかはないんでしょうね…

コミックマーケット準備会側は*1しばらくは動向を見守るとのことでした。

まあ、具体的にどうすることになるか、というのはまた今度書くと思います。



ところで、前々から成立してしまった時の考えとして、直接請求権を行使して、条例の改廃を要求するものが言われています。


直接請求するにはその地方自治体の有権者の署名が必要で、

条例の改廃、事務監査請求に必要な署名は有権者数の50分の1で、

議会の解散、首長のリコールに必要な署名は有権者数の1/3*2が必要で、その後、住民投票過半数の賛成があればリコールは成立します。

有名な例では、後で取り上げる名古屋市*3の解散請求や、旧豊郷小学校の解体をめぐった騒動、

議会を開かず専決処分を繰り返した、ブログ市長としても有名な竹原信一阿久根市長をめぐる問題などが有名です。

市町村合併を巡ってもしばしばリコール運動が行なわれていました。


つまり、直接請求で条例の改廃を要求するには東京都の全有権者の50分の1、20万人あまりの署名が必要になります。

ただ、この署名が成立しても都議会に諮られ、そこで判断されることになります。

もちろん、有権者が対象なので他の道府県民はもちろん、20歳未満や外国人も署名に参加できません。

なお、名古屋市会の解散を求める署名活動をしたときには、法定数が365,795人分に対して、集まった署名が465,602人分だが、無効分が多く必要数に満たず、異議申し立てが行なわれているところです。


もし、仮にこの条例改正に反対する東京都の有権者が法定署名数を超えるとしても、

誰が署名運動の音頭を取るか、あるいはどう集めるかが問題になると思います。

例えば、胡散臭い団体には署名を渡したくはないでしょ?

署名を実際に集める期間はわずか1カ月です。人口が少ない地方ならまだしも、20万以上の署名を集めるには相当の下準備が必要でしょう。

ざっと数カ月はかかると思います。

音頭を取るのは、山口貴士弁護士や藤本由香里氏らよりも、むしろコミック10社会などの出版各社がいいと思います。

出版各社であれば、自分の裁量で雑誌広告に署名のお知らせを掲載できますからね。


あ、名古屋市会解散の署名は街頭でもやってたっけ…

*1:準備会側がそういう対応するのは弱腰という感じは否めませんが、現実的に他にできることがないのでしょう…

*2:ただし、人口が40万人を超える場合はその超過分の6分の1を加えた数。つまり、必要な署名数=400000/3+(x-400000)/6。

*3:名古屋市では「市議会」と言わずに、「市会」と呼ぶのが一般的。横浜市大阪市京都市、神戸市でも「市会」と呼ぶ。