表現規制問題を支えるものと取るべき態度


結局、表現規制問題を支えるのは「正しい大義なんだと思います。


推進派は児童ポルノを撲滅するという「正しい大義」のために、漫画などの創作物を規制すべきだと主張している。

反対派は表現の自由を守るという「正しい大義」のために、創作物の規制に断固として反対している。

一部の推進派は、反対派を罵詈雑言により中傷する。そして一部の反対派は、推進派を罵詈雑言により中傷する。

双方ともヒステリックになればなるほど、
「自分の敵をまぬけ、不正直、あるいは他のいやしい動機をもっていると非難し、侮辱する」
*1

という点では同じ穴のむじなだと思います。



どちらにせよ、 「人は自分が信じたいものしか信じない」 (と学会会長、山本弘氏の言葉)

のだから、推進派、反対派の双方ともに、いとも簡単に「トンデモさん」に変身してしまいます。



いくらディベートの場で「創作物の表現は犯罪を助長しない」と論破したところで、推進派は負けを認めません。

反対派の皆さんだって、

アニメや漫画、ゲームソフトは「写実的なものに限られる。ちょっと漫画で子どもの裸を描いたからといって規制はありえない」という

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/11/news097.html

と言われたって、眉つばでしょ? 私も極端な方向にどんどん行ってしまわないか心配です。

戦時中の特高警察や文化大革命紅衛兵などのように、

あらゆる物に言いがかりをつけて「弾圧」することができてしまうからです。



(とりわけ推進派の間で)児童を性的搾取から守ろうという目的のあまり手段を選ばなくなり、

強引なことをやってしまっているように思う。id:kechack さんがかつて提唱した概念である、

「安全マキャベリズム」の典型なのである。<<安全マキャベリズムが極限に達した状況においては1%でもリスクの高い集団が存在すえ(ママ)ば排除の対象となり得る*2>>

のだから双方ともヒステリックになるのは無理もない話である。


反対派の皆さんは冷静にご判断願います。

http://www.picnic.to/~ami/teian/teian_3.htm で指摘されているように、

児童ポルノ法改正に反対*3」だとか「○○の陰謀」だとか、特定の思想信条を中傷するような

発言はくれぐれも慎むべきです。

先ほど私も「トンデモさん」と書きましたが、特定の人物を挙げて「トンデモ」呼ばわりも避けるべきです。

「トンデモさん」は推進派だけでなく、反対派にもいるのですからブーメラン効果になりかねません。

どうかヒステリックな反応を自制し、表現規制反対の世論を一層喚起し、

表現の自由を侵すことなく、確実に児童を性的搾取から保護する措置についてお考えになってください。


心よりお願い申し上げます。




ページ数が多くなるので、簡単につけたしです。

与党が単純所持禁止の方向を決定づけたのは大いに懸念すべき事項ですが、その一方で他の問題も議論されているので

これについて簡単に触れることにします。

同PT*4は今後、インターネットを通じて児童ポルノが複製され、拡散している状況に歯止めをかけるため、プロバイダー(接続業者)に対して閲覧制限などの義務規定を設けることなども検討する。

http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20080419-350011.html

私は単純所持禁止は問題点があまりに多いと思いますが、この案には賛成します。

プロバイダーに対して児童ポルノを遮断、あるいは閲覧制限などを義務付けることは

大いにやっていただきたい。これなら表現の自由を侵す心配はほとんどないと私は思います。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sci98/20080420

*2:http://d.hatena.ne.jp/kechack/20060307

*3:論点を明示ない上で

*4:児童ポルノ禁止法見直しに関する与党プロジェクトチーム