ネット世論調査の有用性について
興味深い記事があったので、紹介します。
世論調査結果、面接とネット利用では大きな違い
世論調査の方法で面接聴取とインターネットを利用した調査とで、結果に大きな違いが出ることが、内閣府の比較調査で分かった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080428-OYT1T00550.htm より
2007年7月に実施された内閣府の世論調査で、面接調査(本調査)と同時期に、
同じ質問をネット調査でしたところ、ほとんどの項目で回答が異なっていたという。
読売新聞の同記事によれば、
今回の比較で最も開きが大きかった「自由時間の過ごし方」に関する質問(複数回答)では、「パソコンや携帯電話での情報の閲覧」が、ネットでは78・1%に対し、面接では21・6%にとどまった。
そうですが、やはり面接調査で「パソコンや携帯電話での情報の閲覧」は言いづらいのでしょう。
あとは、ネットをよくやる人とあまりやらない人で主義主張が異なるというのもありますね。
児童ポルノ法改正なんかはその典型例だと思います。
面接調査という場で性的な話題というタブーを話しにくい、回答者がどのような規制を想定して
回答しているのかが分からないなどという、性質上の問題点はあるにせよ、
単純所持規制に賛成する人が90.8%、漫画や絵の規制に賛成する人が86.4%もいる*1
ということは、別件逮捕や捜査権の濫用などの問題が世間に知られていないことを勘案しても
あまりにも多いのではないでしょうか。創作物規制についても同様のことがいえると思います。
一方、ネットユーザーにはオタクや、そうでなくても表現の自由に敏感な人が多いので、
いずれも反対派の方が大きく上回るはずです。*2
現にBNNがおこなったネット世論調査では、単純所持賛成がわずか2.2%にしか満たないのです。
・捜査権の乱用が危惧されるため、反対 824票 76.4%
・規制は必要だが、「単純所持」禁止には反対 168票 18.4%
・「単純所持」禁止に賛成 22票 2.0%
・改正にはブロッキングなどほかの有効策も必要 18票 1.7%
・法改正後は、所持している画像を破棄する 17票 1.6%
アンケートの結果は、「捜査権の乱用が危惧されるため、反対」を選んだ方が最多とのなりました。
一方、「単純所持」禁止に賛成は、わずか2.0%でした。
いずれにしても、この改正案が児童に対する性的虐待や撮影を目的にした強姦事件などを減少させることができるのか、改めて考える必要があるはずです。
あとは、ネット世論調査は組織票になりやすいんですよね。
田代祭とか、川崎祭とかのような組織票騒動もありましたし、
今日の23時10分現在、「Yahoo!みんなの政治」でのネット投票において
福田内閣の支持率は3%で、不支持率が96%と、マスメディアの世論調査ではありえない
とてつもない差なんですよね…*3
結果として、ネット世論調査は危険なものと言わざるを得ないと思う。
ただし、面接調査や調査票調査にも危険性は十分にあるし、
どの調査手法を取るにせよ、「統計でウソをつく」ことは可能なのだから…
*1:「有害情報に関する特別世論調査」の概要 http://www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/h19/h19-yugai.pdf より
*2:現に、私も反対寄りの立場ですから…
*3:http://quizzes.yahoo.co.jp/quizresults.php?poll_id=6991&wv=1