メディア・リテラシーってなんだろう
今、メディア・リテラシーというものが叫ばれています。
私もそれは重要だと思いますが、実態はどうなのだろうかとふと思いました。
メディア・リテラシーは、物事を鵜呑みにせず、疑ってかかることから始まります。
ただ、疑うことがすべて正しいことでしょうか?
あるいは、自分にとって都合の悪い情報をすべて一蹴して、
都合の良い情報には無意識の上に飛び付いてはいないでしょうか?
以前、児童小銃さんが皮肉っていたのを思い出しました。
詳細は下記のURLをご覧ください。
当時流行っていた、菊池聡氏の「まん延するニセ科学」のパロディですが、
このうちの、次の言葉に関心を抱きました。
さて、「ニセメディアリテラシー」が受け入れられるのは、メディアリテラシーに見えるからです。つまり、ニセメディアリテラシーを信じる人たちは、メディアリテラシーが嫌いなのでも、メディアリテラシーに不信を抱いているのでもない、むしろ、メディアリテラシーを称揚しているからこそ、信じるわけです。
このように「ニセメディアリテラシーは実に小気味よく、物事に白黒を付けてくれます。この思い切りの良さは、本当のメディアリテラシーには決して期待できないものです。
しかし、パブリックイメージとしてのメディアリテラシーは、むしろ、こちらなのかもしれません。『メディアリテラシーとは、様々な情報に対して、曖昧さなく白黒はっきりつけるもの。』メディアリテラシーにはそういうイメージが浸透しているのではないでしょうか。そうだとすると「ニセメディアリテラシー」はメディアリテラシーよりもメディアリテラシーらしく見えているのかもしれません。
たしかに、なんでもかんでも「真実と嘘」の単純な二分法で割り切れるなら簡単でしょう。しかし、残念ながら、世界はそれほど単純にはできていません。その単純ではない部分をきちんと考えていくことこそが、重要だったはずです。そして、それを考える態度が、本来の「合理的思考」であり「メディアリテラシー」なのです。二分法は、思考停止に他なりません。
ネット上の言説の一部には、「インターネットによってマスコミの嘘が暴かれた」というものが
あります。それはあながち間違ってはいないと思います。
一部の中国人が無法な事をやっていることがまっ先に暴露されたのは、インターネット上でのことですし、*1
他にも、インターネットが真実を暴いてきた一面はあるとは思います。
しかしそれが勢い余って、「インターネットだけが真実を伝える」とか、
「インターネットでは情報操作が効かない」などと思い上がってしまう人は多いと思います。
あるいは、「メディア・リテラシーを持っている」という自負のもとで
陰謀論に容易に飛びついてしまうことがあります。
副島隆彦氏はその典型例だと思います。
もともとアメリカ嫌いだった副島氏は、映像による情報操作の危険性を訴えていたにも関わらず、
よりによって、お笑い番組で紹介されたエイプリルフールのインチキドキュメンタリー番組を信じ、
アポロ月面着陸捏造説を信じてしまった。
メディア・リテラシーに関心を持つ人は、メディア・リテラシーの名のもとに、
自分にとって都合のよい情報のみを摘み取ったり、都合の悪い情報を検証なしに一蹴したり
はたまた、疑うあまりに陰謀論に陥ってしまうことがあるので
私も皆様も注意しなければならないと思います。