人権擁護法案の修正案が提示される。

メディア規制条項を削除 人権擁護法、自民が素案

http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY200805280345.html

人権擁護法案の修正案が提示されたようです。

この朝日新聞の記事によると、太田誠一氏が試案を発表するそうです。(28日現在)

この記事によると、

 素案では一般救済についても「人種、障害、疾病等による差別」「職務上の地位を利用して行う性的言動」「優越的な立場においてする虐待」など対象範囲を具体的に定めた。特別救済手続きについても、政府案にあった「差別的言動」との記述を「反復して行う差別的言動」に改めることを求め、対象範囲をさらに限定した。

 また、制度の乱用を防止する観点から「申し立て自体を不当として対抗措置をとれる制度を創設」と定め、「申し立てられる側に不利益となる措置は、その対象を不法行為に限定する」と明記し、申し立てられる側に配慮した。

また、メディア規制条項は明確に削除されることになったとのことです。

少なくとも一見すると少しはましになったような気がしますが…


この記事が出た時点では、保守派からの目立った反対論は確認できませんでしたが、*1

ブックマークには修正案に対する多くの批判が寄せられています。



保守派が問題にしているのはメディア規制条項ではないので、

修正案が問題なら保守派の方々は反対し続けるのではないかと思いますし、

産経新聞や諸君!などの保守系メディアは引き続き反対キャンペーンを敷き続けるでしょう。

人権擁護法案提出が検討されるたびに反対論が再生産されるのです。


推進派の一人である古賀誠氏は、自由民主党選挙対策委員長でもあります。

来たるべき選挙を有利に戦うために党三役から党四役に格上げされたポストです。

多くの保守派(タカ派寄り)議員が反対する中、人権擁護法案を無理に通そうとするのは、

自滅行為も甚だしいです!


平沼赳夫氏が新党結成の準備をしているとの一部報道もありますし、

平沼氏が小沢一郎民主党代表と接触したとも一部報道もあります。

人権擁護法案を通そうとしたら、保守系議員が大量に離党して平沼新党に合流するでしょう。

あるいは、野党が内閣不信任決議案や問責決議案を提出したら造反して賛成・欠席するでしょう。


離党者が続出したら、再議決は不可能になる可能性がありますし、

平沼氏は民主党と組んで自民党を野党に落とすという可能性を排除しないでしょう。

民主党平沼新党と組む代わりに、人権救済特別法案を提出しないというカードもあります。

人権擁護法案反対派は、「自民党を野党に落とすぞ」という脅しを使いうるのです。


よって保守派が反対し続ける限り、人権擁護法を成立させることは半永久的に不可能でしょう。

人権擁護法案を成立させたら大政局になります。

最悪中の最悪のシナリオとしては自民党の崩壊すらもゼロではありません。

よって、保守派の同意を取り付けづに人権擁護法を通すのは事実上不可能です。


ひとまずは、保守派の動向を見守ることにしましょう。



…と思ったら、やはり反対しているみたいですね*2

29日に正式に提案されたところ、やはりというか相変わらずというか大反発です。

これで、もう人権擁護法案が提出される可能性はほぼなくなったと言えるのでしょうか。

とにかく、人権擁護法案は崇高な目的を掲げる割にはあまりに問題点が多いと思います。

表現の自由の問題もありますので、保革を問わず反対する人がいるぐらいですから…


他の誰かに左右されたわけではなく、自分でよく考えた結果、

やはり今回の修正案でも問題点は山積みです。

ちょうどしんぶん赤旗日本共産党人権擁護法案を批判しましたし、

各派からの反発が出ていますので、まず現状では成立することはあり得ないでしょうけれども…

*1:後に掲載するように、多くの反対論が出てきました。

*2:http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3863666.html を参照