『闇の子供たち』と表現規制問題

昨日、「あの黒田大輔さんが、ユニセフ協会に問い合わせ」という動画をたまたま発見しました。

タイトルを見ればいわゆる電凸、ネットユーザーによる電話での突撃取材という内容だと分かります。

本来、こういった政治色の濃いネタは一切見ないようにしているが、タイトルやサムネイルでは

確かめようがないが、電凸の内容を聞けばすぐ分かる。私は意を決して見てみることにしました。


黒田大輔って何者かと思って、Googleで検索してみたところ、

保守系*1団体、日本を護る市民の会の代表者で、

しばしば抗議活動などにも顔を出している人物であることも分かった。

では、何に対して抗議しているのかというのもすぐに分かった。




児童ポルノ問題とはそれほど関係なく、映画『闇の子供たち』についてのことらしい。

映画『闇の子供たち』に出てくる、生きた子供からの心臓移植などのショッキングなシーンが

日本を貶めるものだと主張しているようなのです。

「少女から生きたまま心臓移植」 映画「闇の子供たち」の問題PR

http://www.j-cast.com/2008/09/24027451.html

この問題の詳細については、リンクを見ていただきたいと思いますが、

簡単に説明すると、主人公の新聞記者男性がNGOボランティア女性と協力して、

タイでの幼児人身売買・売買春の実態に迫るというストーリーで、前述の生きたまま心臓移植を

受けるシーンというのは、タイ人の少女から日本人の少年が受けるというものです。

実物を見たわけではないので実際の場面は分かりませんが、非常にグロテスクな描写を想像させます。


ネットなどで「事実と日本人への誤解を生む」と反発が出ていて、タイでも国際映画祭で上映が取りやめに

なるなど物議をかもしだしています。さらに、原作がフィクションであるにも関わらず、ノンフィクションとして

実話であるかのように宣伝されていることも問題視されています。

少なくとも、阪本順治監督は脚本家の前の現地調査で真実だと確信したとのことです。


ちなみに、この映画の原作は梁石日氏。在日である梁氏が原作というのも、恰好の食い付く材料です。

そして、この映画に協賛しているのがあの日本ユニセフ協会

この映画の意図するところは、児童の人身売買の告発にあるということから、ユニセフ協会が協賛するのは

当然のことなのでしょうけれども、もはや「燃料」を投下しているとしか思えません…

毎日新聞でロケが行われたという話もありますしね…

日本ユニセフ協会反日」というロジック

さて、黒田氏の認識では、日本ユニセフ協会反日団体という認識なのでしょうか?

本家本元のUNICEFとの関係についても問い質していたので『闇の子供たち』上映以前から批判的だったように

思います。

黒田氏については分かりませんが、しばしば黒田氏と行動を共にする瀬戸弘幸氏は児童ポルノ法改定に

反対している模様です。そのことにかんしては、以前私も書きました。

瀬戸弘幸氏、単純所持禁止に反対する!

http://d.hatena.ne.jp/slpolient/20080527/1211889354

で言及しておりますので、ご興味のある方はご覧になってください。


私は、右翼であっても左翼であっても規制反対派が増えることはありがたいことだと思います。よって、

日本ユニセフ協会は日本を貶める映画に協賛している!!→日本ユニセフ協会反日団体!!→

日本ユニセフ協会が推進する創作物規制や単純所持規制も反日だ!!

というロジックで規制反対に動いてくれたらどんなにいいことかと思います。


もちろん、正当な論理学の観点から見れば詭弁であることは確かでしょう。

同様の方法で左翼が好むようなロジックを使って左翼を規制反対に駆り立てる

こともできないかと考えているまでです。

右翼も左翼も単純なので、亭主や女房よりも操縦しやすいかもしれないですからね…


逆に、「子供に見せられないものがあるのは国辱ではないか?」という反論もありますが、

また今度それに対する見解を申し上げたいと思います。


表現規制問題との関連性

表現規制阻止の方法論に関する私の正直な気持ちを申し上げておきますが、

ディベート対策ですとか、論理的な反駁は11月にブラジルで行われる、

子どもの商業的性的搾取に反対する国際会議に対する対策に集中させるべきだと思います。

国内での反対を盛り上げるためには、表現の自由という言葉だけではダメで、

本来は好ましくないのですが、感情論を巧みに使ってヒステリックに騒ぎ立てさせるというのも、

一つの手立てではないかと思います。

解散風が吹いているので、法改定を阻止するための時間稼ぎはできるのではないかと思います。

麻生内閣の支持率も若干低迷しているので解散はずれ込むかもしれません。

衆議院が解散すれば、当然その間は法案を成立させることはできません。

参議院の緊急集会が行われるとすれば、有事か予算成立を急ぐ時ぐらいでしょう…)

当然、規制推進派の動きも行われることになりますが、最善策としては法改定の阻止を

優先させるべきなので、引き延ばしはプラスになると思います。

もっとも、今後解散が行われずに児童ポルノ法改定案が成立するという最悪のシナリオも

考えられますが…*2


さて、黒田氏や瀬戸氏のような活動家系の人間だけでなく、実際に法案の審議に携わる

国会議員に「日本ユニセフ反日団体」というロジックが通用するかどうかが今後の

鍵となるでしょうね… 天下りも行われているとのことですから、その手の族議員には

通用しないだろうというのは確かだと思いますが、もし成功すれば、

人権擁護法案のように、半永久的に成立を阻止できるのではないかと

ささやかな期待を寄せているのです。



さて、最後に申しあげておかなければならないことがあります。

我々は、児童の人身売買には断固として反対しなければなりません。

しかし、日本ユニセフ協会のやり方には疑問を感じざるを得ないということなのです。

*1:限りなく右翼に近いが…

*2:中山成彬大臣の「失言」や、今後のスキャンダルや汚染米騒動などの動向によっては支持率が下降し、解散ができなくなる可能性がある。 安倍政権も福田政権もスキャンダルに泣いた点は大いにある