東京新聞で児童ポルノ法問題が取り上げられる。

児童ポルノ禁止法改正案めぐり議論 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2008110402000078.html

東京新聞児童ポルノ法問題について特集を組んだそうです。しかも、

マスコミとしては珍しいことに、反対の論調が非常に強く出ています。

朝日新聞ほどの大手でないため、あまり叩かれることは少ないですが、

東京新聞中日新聞)は非常にリベラル、悪く言えば左翼色が強い新聞です。

ですから、このような記事を書くことができたのかもしれません。


この記事はホームページ内では、

 「これでは、どこまでが『芸術』で、どこからが『犯罪』なのかわからない」。与党が国会に提出した児童買春・ポルノ禁止法の改正案をめぐり、疑問の声が出ている。児童ポルノ写真・映像を個人的に持つ「単純所持」も禁じたことや、今後、漫画・アニメも禁止対象となる可能性があるからだ。漫画家や専門家らは、同法改正が表現の自由を狭める契機になるとの危機感を募らせている。

という出だしの部分しか取り上げられておらず、ネット上で閲覧するためには、

携帯電話の有料会員サービス「東京新聞・東中スポ」を利用しなければなりません。

そのため、私はこの記事を知った次の日、つまり昨日、図書館で11月4日付の東京新聞20・21面に掲載された

こちら特報部』内の当記事をコピーしてその記事を手に取って拝見しております。


首都圏在住の皆さんは、近くの図書館に行けば東京新聞があるかもしれないので、詳しく知りたい方は、

図書館に行って、本紙をご覧になってください。
名古屋近辺にお住まいの方は、もしかしたら中日新聞に載っているかもしれません。

その他の地方にお住まいの方は、東京新聞を見るのは難しいかもしれませんが、

県立図書館や大学図書館などの大きな図書館に東京新聞があるかもしれませんので、

各自でお調べになった上で、現物をご覧になってください。


全部を抜き出すわけにはいきませんし、長くなるので、簡単な概略を紹介することにします。

なお、以下の引用枠内の文章は、全て2008年11月4日付東京新聞朝刊の20、21面に掲載された、

児童ポルノ禁止法改正案めぐり議論」内からの引用です。

とは言ったものの、いずれ誰かが全部アップロードすると思います…

児童ポルノ禁止法改正案、識者らの疑問

漫画・アニメにも 規制どこまで

まず、漫画家のみなもと太郎氏のインタビューから始まります。この中でみなもと氏は、

風雲児たち』の中の少女が売られ客を取るシーンを挙げて、

「これも駄目だと言われたら、歴史的事実が書けなくなる。誰が何をわいせつと決めるのか、はっきりしていないことが怖い。」

と語り、漫画などに規制が広がることを危惧しています。みなもと氏は他に、

「権威ある芸術作品は、取り締まれない。それならば、どこから取り締まるのか。誰が過激だと判断するのか」

「不快に思うものもあるが、表現することを規制すべきではない。(中略)規制し始めるとなし崩しに範囲が広がっていく」

などと、表現の自由を狭めていくことに対する恐怖心をあらわにしています。

単純所持対象「思想チェックに」

違法は当局判断 表現の自由危機

続いては、単純所持の話題です。単純所持禁止の動きや日本ユニセフ協会のキャンペーンに触れた上で、

「連絡網AMI」の兼光ダニエル真氏へのインタビューが取り上げられている。兼光氏は、

実際に子どもが性的虐待されている児童ポルノは根絶すべきだと前置きした上で、

空想上の産物である創作物は分けて考えるべきだと訴え、児童ポルノの定義があいまいで、捜査当局の

胸算用で判断でき、別件逮捕の温床になると主張し、また、有害や不快なものも「違法」として

取り締まる流れになっていることを懸念し、思想弾圧につながりかねないと危惧する発言をしています。


また、山口貴士弁護士も登場し、創作物規制について「表現の自由は少数派の表現を守ることに存在意義がある」と

答えている。そして、「特定の時代の価値観で未来における表現の在り方を規制し、未来の世代から創作の自由を

奪ってはならない」と発言しています。


専修大学山田健太准教授もインタビューの中で、次のように表現規制を危惧している。

日本は性犯罪が絡んだ絶対禁止すべきものと、見たくない人の目に触れないよう流通で規制すべきもの、青少年に見せたくない『有害』なものなどが、一緒くたに『わいせつ』とされ、とにかくみんな禁止してしまおうという流れになっている。

「今の世の中は、安心・安全・健全の名の下に、何でも法や公権力で規制することに頼り、規制の範囲が違法なものから不正や有害なものへと広がっている」

また、単純所持禁止に関しては、「思想のチェックにつながりかねず表現の自由の大原則を変えることになる」と

非常に強い懸念を表明しています。また、山田氏は創作物に関して、規制ではなく、流通過程の自主規制で対処できると

主張し、

規制により、憲法で保障された権利や自由がどんどん狭まっている。これは児童ポルノ法改正の問題だけではない。

と改めて、規制の動きを牽制しました。

記事の小まとめ

結局のところ、目新しい観点はあまり見当たりませんでした。強いて言えば、山田氏が民主党が提案している

取得罪についても懸念を示していることぐらいでしょうか。

しかし、新しい観点よりも重要なのは、東京新聞という、比較的販売部数が少ないブロック紙とは言え、

このような、明確に児童ポルノ法改定問題に対し、

問題点を提起する記事が掲載されたということは

非常に価値のあることではないかと思います。

このような記事が出るということは、少しでも多くの人に、問題点を知ってもらえるという点で、

非常に重要なことです。東京新聞の当記事は非常に希少価値のある存在です。


皆さんも、機会があった時にご覧になってください。


もっとも、こんな記事で規制推進派の動きは少したりとも変わりはしませんがね…