国籍法問題で確信した! 保守派が騒げば法案は潰せる!!

今までくどいぐらいに書いてきた持論なんですけど、

人権擁護法案のロジックを応用して、法案を潰せるのではないかと考えていて、

国籍法反対運動をみて、ますます自説は強化されました。


そこで、国籍法反対運動のざっとした流れを再確認するために、

改めてid:LondonBridgeさんのまとめ記事、

国籍法改正騒動の時系列メモ -倫敦橋の番外地-

http://d.hatena.ne.jp/LondonBridge/20081206/1228491261

を見ると、国籍法の違憲判決が最高裁判所で出た当時、産経新聞の社説で、

「【主張】婚外子国籍訴訟 時代の流れくんだ判決だ」と評価していたことが分かります。

その社説の詳細な内容はと言いますと、

 日本人とフィリピン人との間に、婚姻関係なしに生まれた子供の日本国籍取得裁判で、最高裁大法廷は違憲判決を出した。多様化する現代の親子関係などを十分に考慮し、社会の流れに沿った判断と言えよう。

 裁判長の島田仁郎最高裁長官はじめ、15人の裁判官のうち12人が違憲状態を支持するという判断を示した。これにより、訴えた子供と同じような境遇の子は全国に数万人いるとされ、日本国籍取得に道が開けたわけで、今回の最高裁の判決を歓迎したい。

 (中略)

 しかし、その後のわが国の家族生活や親子関係に関する意識の変化に言及した点は、国民にとってよくうなずける。子供の利益を最優先した判決と理解したい。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080605/trl0806050312000-n1.htm

というものであり、当初産経新聞違憲判決を歓迎していました。

つまり当時、産経新聞の関係者は「日本が乗っ取られる!!」などというアイデア

持っていなかったということがうかがえます。


11月4日に国籍法改定案が閣議決定

11月の上旬ごろには、ネット上でまとめwikiが確立し、12日には河野太郎議員のブログが炎上しました。

この頃からネットの外でも大騒ぎされ始め、14日には有志議員32人が国籍法改定案の

慎重な審議を申し入れ、17日には彼らによる集会が行われ、国籍法改定に反対する議員連盟もできました。。

しかし18日に「全会一致」で衆議院通過。当初は参議院でもすんなり成立するはずだったが、

審議の時間を長くとるようになり、さらに田中康夫議員や川田龍平議員らも、

人身売買や児童買春に利用されるということを理由に反対を表明。

結局、12月5日に参議院でも可決成立と相成ったというわけです。

しかし、反対運動はやむ気配が全くなく、違憲判決に賛成した裁判官を、

弾劾裁判で訴追しようとする運動が起き、*1

すぎやまこういち氏らを中心として、国籍法改定に反対する意見広告が作られるなどしています。*2



つまり、何が言いたいかと申しますと、

法案に反対するにはアイデアが必要だということです!!

少なくとも、国籍法違憲判決の時点では産経新聞は国籍法改定に反対していませんでした。

むしろ、積極的に違憲判決を歓迎しています。

つまり、保守派の誰も「国籍法改定で日本が乗っ取られる!!」という

イデアを持っていなかったのです。

まあ、偽装認知を懸念する意見があったのは間違いない事実ですが、

これほどまでに大きな騒ぎになることはありませんでした。


しかし、ネットで大騒ぎになると、コペルニクス的転回が起こります。

保守系の有力議員らが国籍法改定案に次々と反対し、

違憲判決が出た当初は違憲判決を歓迎していた産経新聞も態度を180度変え、

国籍法改定案に反対したのです。

(ちなみに、id:LondonBridgeさんによれば、11月6日に馬渡龍治議員のブログに水間政憲氏の

 コピペが貼られたことが、大きな転換点となったのではないかとのことです。)



ということを改めて振り返ってみると、保守派はカモだということが分かります。

「とにかく騒げばなにかあると思わせることができる」という政治手法で思う存分操縦できます。

そういう意味では、右派・保守派だけでなく、左派・革新派もカモなのですが、

左派を煽ったところで、「またサヨクが騒いでる!」と思われてしまい、効果は期待できません。


しかし、保守派が騒げば嵐を呼ぶぜ!! どんな法律だって潰せるぜ!!
え!国籍法は通っちまったって!? そんなもん、たまたま大きく出遅れちまっただけだ!!

もう少しタイミングが早かったら、あーっという間に潰れちまってたに違いねえ!!


というわけで、保守派を騒がせることさえできれば、あらゆる法律を闇に葬り去ることが

できるのではないかと思います。国籍法改定反対運動を見ていたら、ますます確信しました。

右にせよ、左にせよ、人を利用しようという考え自体、汚い考えなのかもしれませんので、

本来は決して好ましい方法ではないかもしれませんが、このレトリックを有効に使えば。

児童ポルノ法改定案だろうが、ダウンロード違法化だろうが、他の何であろうが、

法律を成立させずに潰すことが可能になると思います。



と書いた矢先に、こんな記事を見つけました。

外国人留学生にも「定額給付金」 「血税の使い道違う」とネットで怒り


 「定額給付金」について、総務省は算定の基準日を2009年2月1日にすることを08年12月20日に決めたが、ネット上では、就労目的で在留する外国人や留学生が支給対象に含まれていることに、大きな反発が起こっている。つまり、日本は不況が深刻化し、派遣切りで家まで失う日本人が大量に出ている中、外国人留学生らに支給するのは「血税の使い道が違うのではないか」、という理屈だ。

http://www.j-cast.com/2008/12/22032709.html

好ましいかどうかは全くの別問題として、*3

定額給付金制度も、これで政策転換を強いられるのでしょうか…

いずれ、右派も騒ぎ立てることでしょう…

派遣切りで家まで失う人が軽んじられたままで…

*1:参考URL: http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2008/12/post-873b.html

*2:参考URL: http://d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20081219/1229654002

*3:定額給付金そのものの是非についてはここでは触れませんのであしからず…