児童ポルノ法問題で微妙な立場に置かれる(?)二大政党

児童ポルノ:所持禁止へ、アグネスさんら署名提出


 日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャンさんらが13日、児童ポルノについて個人で見るために所有する「単純所持」の禁止などを求める署名約9万筆を与野党に提出した。署名は昨年4月提出分と合わせ、11万4624筆に達した。


 アグネスさんは「今国会で(児童買春・児童ポルノ禁止)法改正をお願いしたい」と要望した。与党はすでに性的な目的での単純所持を禁じた改正案を国会に提出している。民主党は「有償での取得」などに限って禁止する方針だが、与野党協議は進んでいない。


毎日新聞 2009年1月14日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090114ddm012040047000c.html

昨年8月現在で8万人以上の署名を集めたそうですから、署名の数は意外と少ないという印象です。

もっとも、反対の署名運動はちっとも足並みが揃わず、てんで足元にさえも及びませんが…


産経新聞の記事によれば、署名を受け取った保利耕輔政調会長は、

「いろいろな問題があるが、党派を超えて法改正を実現したい」と応じたとの事です。

そう言うことを考えると。保利氏は規制推進派と言えるのかもしれません。

あるいは、単に社交辞令的にそう答えた可能性もゼロではないでしょう。

その一方で、笹川尭総務会長は「取り締まりが厳し過ぎないよう慎重に対応しなければいけない」

と述べたとの事なので、笹川氏は慎重に考えるべきだという立場なのではないでしょうか。



また、ブックマークでのid:Quietworksさんのコメントには、次のように書いていました。

2大政党には党内不一致が見られる。推進派の主張が“児童の権利の保護に繋がらない妄想”であることが認知されれば党内の慎重派が動きやすくなるのではないか。

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090113/trd0901131449011-n1.htm

確かにおっしゃるとおり、自民・民主両党には党内不一致が見られるでしょう。

与党案の提出は、規制推進派の見切り発車という側面があるのは間違いありません。

人権擁護法案や国籍法改定の時のように、反対派が大騒ぎする可能性は今のところ皆無なのにも

かかわらず、また政局が混乱していて法案が審議される見通しが今のところ立っていないのにも

かかわらず、押し切った印象なのは間違いないでしょう。*1



前回の記事で取り上げたアンケートで、民主党が「検討中」を繰り返したのも、

自民党が無回答だったのも、党内で統一見解がまとまっていないということなのでしょう。

今、国会で提出されている改定案も規制推進派議員が議員立法として提出したもので、

党内で合意を取り付けるというコンセンサスを経ていない可能性もあるのかもしれません。

いずれにせよ、自民・民主の二大政党が党としての見解を持っておらず、

規制推進派と規制慎重派に分かれているのは間違いないでしょう。

アンケートの結果を見ると、党内の裏事情が垣間見える気がしてくるのです。

*1:規制推進寄りの立場に立つメディアでも成立する見通しが全く立っていないと報じられているぐらいです。