日本ペンクラブの声明などに関するメモ

保坂展人氏のブログで知ったのですが、日本ペンクラブがこんな声明を出していました。

「屋外での写真撮影への公権力介入を憂慮する」


さる11月10日、今年1月に刊行された写真集『20XX TOKYO』の撮影が公然わいせつに当たるとして、写真家・篠山紀信氏の自宅や事務所が家宅捜索を受け、関係者への事情聴取はいまだに続いていると伝えられる。篠山氏は以前から同じように屋外で撮影した写真を発表してきたのに、今回突然、昨年夏に行われた撮影が問題とされ、しかもいきなり家宅捜索が行われるという事態となった。


写真家にとって表現活動の一環である撮影行為に対して、公権力の介入が恣意的に行われるのはあってはならないことだが、今回の場合も、いきなり家宅捜索を行うといった乱暴なやり方を含め、警察の対応には疑問を禁じえない。
 表現の自由は、発表行為の前段である撮影や情報収集行為も含め、意見発表・表現行為とまったく同等に保障されるべきものであることは当然である。今回のような取り締まりが恣意的に行われることは、表現活動への萎縮をもたらし、公権力による事前抑制行為となりかねない。



日本ペンクラブは、今回の事態を深く憂慮し、ここに声明を発表する。



2009年12月15日
           

社団法人日本ペンクラブ

会長 阿刀田高

http://www.japanpen.or.jp/statement/2008-2009/post_210.html

篠山氏に対する強制捜査が行われてから1カ月経ってからの声明ということは、

日本ペンクラブ内部でも相当喧々諤々と議論が交わされた末の結論だったのでしょう。

保坂展人氏によれば、「日本ペンクラブが声明を出すというのはよほどの事態であり、

社会的な影響を持つものだ。」とのこと。事実、各紙でも日本ペンクラブ

憂慮声明は報道されています。


その件に関して、保坂氏はこう書いています。

公共事業の調査やルポで忙しくてそこまで見ていなかったが、この出版物*1朝日出版社が版元である。つまり、『Santa-Fe』の版元でもあったのだ。何かイヤな予感がする。そこに、信頼できる筋から、こんな情報が入ってきた。児童ポルノ禁止法改正に関わる人物から「捜査も世論の動向を見ているので、今回の事件も児童ポルノ禁止法をめぐる国会の議論も踏まえてのことだ」との本音が漏れてきたという話だった。

http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/a8afda6c166079697f0ac1ddc9a2b2d7

保坂氏の言う「信頼できる筋」が何者かはよく分かりませんが、

児童ポルノ法改定問題とリンクしているようだとうかがい知ることができます。

当初から何か関連性があるのではないかと噂されていましたが、

どうも関連性があったらしいですね。


「創」2010年1月号でもこの事件に関する記事が載っており、

警察は今のところ中身に踏み込むつもりはない*2とか、

一罰百戒を考えたからではないかという指摘がなされ、

写真家の藤原新也氏と日本ペンクラブ山口健太氏が憂慮する発言をしていました。

日本ペンクラブは、日本共産党のビラを配布して逮捕された男性が、最高裁判所

有罪が確定した出来事と併せて、言論表現にかかわる問題として声明を出そうと

検討しているとのことでしたが、今回出たのがこの声明というわけです。



また、保坂氏は児童ポルノ法改定問題と関連付けてこう続けます。

日本ペンクラブが、さらにこの点も「表現の自由」との関係で議論してほしいと思う。「児童ポルノ禁止」と言えば、一切の議論を封じ込めて「思考停止」になるというのが、この国のジャーナリズムの悲しい現実だ。野坂昭如大島渚が丁々発止していた頃は、「出版物を禁制品にする」という提案に国家が乗り出してくるようであれば、激しい議論が噴出していたことだろう。来年の通常国会の前に、しっかりした公開の議論をしていきたいと思う。

まさに保坂氏の指摘通りです。

日本ペンクラブは過去に、「児童買春・児童ポルノ禁止法案」についての声明を出して、単純所持規制や

絵に対する規制を批判していましたが、今年は出していません。

東京都の条例に関する動きもまだ見えてきません。

もしかしたら、今議論が行われているのかもしれません。

そうだとしたら、すぐにでも声明を出してほしいものです。


日本ペンクラブは、「児童ポルノ禁止」と聞いて思考停止するような団体だとは

思えないのですが、今回は沈黙したままです。


北へ。の国から」のyukikazeさんが、

選挙以外にも勿論有効な方法はあります。
18禁ゲーム業界はあっさり降伏してしまいましたが、関連業界や団体を支援することはできます。
新聞社、出版社、漫画、アニメ、等々。もっと直接的に、表現の自由について活動している団体。そう言った団体を支援し、意見を送り、動いてもらえるように働きかけることは、各党の態度を変化させる役に立ちます。

今回のソフ倫の行動が問題だったという事につながりますが、関連業界が激しく抵抗する場合、政府与党はそう簡単に手を出せません。
抵抗される、つまり叩かれたり反対されたりすることは、人気商売・客商売である政治家にとって、もっとも嫌なことなのです。特に、文化関係の団体は権威と影響力が大きいですし。

私は、著作権関係で日本ペンクラブには言いたいことが山ほどありますが、今回のことでは土下座してでも味方になってもらう価値があるでしょう。
と言うか、自分たちに火の粉が飛ぶ可能性に気づいてもらう必要があると思います。

http://yukikaze.otaden.jp/e41400.html

と書いているとおり、表現規制問題に関しては、味方につけられるような

業界団体や労働組合NGONPOなどを片っ端から味方につけるべく、

動いていく必要があるのかもしれません。


西村幸祐氏、すぎやまこういち氏らは表現規制問題にどうゆう見解を持っているだろうか

ところで、保坂展人氏のトークライブの時に知ったのですが、ロフトプラスワン

1月10日にこんなイベントをやるそうです。

西村幸祐トークライブ「ああ言えば、こうゆう!」

「撃論ムック」シリーズ(『反日マスコミの真実』や『チベット大虐殺の真実』、『NHKの正体』など多数)の責任編集などで知られる論客、西村幸祐が吠える! 前回、阿佐ヶ谷ロフトAで行われ凄まじい反響を呼んだ大人気トークライブが、会場を移し再び開催!

<第一部>
サブカルチャーから見た戦後日本
【出演】西村幸祐、杉原志啓(音楽評論家)、佐藤健志(作家、評論家)、但馬オサム(ライター)

<第二部>
もう許せない! 反日マスコミへの宣戦布告
【出演】西村幸祐三橋貴明(作家、経済評論家)、すぎやまこういち(作曲家。予定)、他ゲスト多数予定

http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/schedule/lpo.cgi?year=2010&month=1

保守派の論客として知られる、西村幸祐氏のトークライブですが、

このイベントを知って私が抱いた第一印象は、

「すぎやま先生が来るのか!!」

というものでした。これは、すぎやま氏に表現規制問題に対する見解を聞く

千載一遇のチャンスだと思いました。

過去に、ポルノ解禁論に感動したと発言していますし、*3

うまく訴えることができれば規制反対派になってくれると思っています。


西村氏も、インターネットでの言論を重視する立場ですし、

三橋氏は2ちゃんねるがきっかけで作家・評論家としての表舞台に立った人物です。

杉原氏、佐藤氏、但馬氏も経歴や著作を調べてみると、サブカルチャーに関する

造詣が深い分、表現規制に反対してくれるんじゃないかと思えました。


というわけで、「反日」うんぬんはあまり好きではないのですが、

西村氏のトークライブに行って、出席者の皆さんに児童ポルノ法改定問題などの

表現規制問題についての意見をぶつけてみたいと思います。


西村氏やすぎやま氏らは「児童ポルノ」と聞いて、思考停止するような人間とは

少なくとも私には思えないんです。

オールド保守よりもむしろ、新興保守に近い立ち位置の人間なので、

うまく訴えていけば規制反対派になってくれるのではないかと

私は考えていますが、実際のところはどうなのか、

本人たちに直に聞いてみる以外に方法はないと思います。

というわけで、この千載一遇の機会を逃すべきではないと思います。


西村氏やすぎやま氏は保守論壇に影響力があるので、

土下座してでも味方になってもらう価値がある人物だと思います。


すぎやま氏は著作権に対して厳しいとか、成人向け同人に対して不寛容ではないか、

藪蛇になってしまうのではないかという異論もありますが、

先ほど紹介した、ポルノ解禁論に感動したという発言がその反証になります。

また、人権擁護法案に反対する意見広告に

コミックマーケットに出す同人誌も」という文言を盛り込んでおり、

少なからず同人文化に対する理解があることを示唆する情報が存在します。


すぎやま氏は著作権に対しては非常に厳しい立場をとっている一方、

DTM文化に対しては、「既存の音楽を使うときには許可を取るべき」とした上で

非常に高く評価しているそうなので、それほど大きな問題ではありません。


もし、彼らが規制推進寄りの発言をするのであれば、

「賛成か反対か」という形式の質問をする以上、

「元々規制推進派だった」という結論に至るのであり、

新たな敵を作ることはないと思います。



人権擁護法案と関連付けたり、慰安婦団体がバックにいることを指摘したり、

反日マスコミによる偏向、捏造」と煽ったり、APP研

天皇制=レイプ」発言を、「天皇を中傷する不敬発言だ!!」と言いたてたりすれば、

反日マスコミへの宣戦布告」というテーマとも矛盾せずに

表現規制問題に対する見解を聞くことができると思うのです。


そして、もしすぎやま氏や西村氏らが規制反対派であるならば、

是非とも意見広告を作っていただき、

多くの人々に問題点をアピールしていただきたいのです!!

*1:引用者注:摘発の対象となった写真集

*2:事実、この記事が掲載された時点では版元の朝日出版社は捜索を受けていない。

*3:[すぎやまこういち] 西ドイツのポルノ解禁のお話 http://www.nicovideo.jp/watch/sm7749588