青少年条例成立の裏事情?都議会解散説に迫る

西沢けいた都議の都政報告会、そして石原ヤケクソ解散の可能性!?

http://togetter.com/li/80787


去る19日に、西沢圭太都議の都政報告会があり、@Bon_voyageさんが報告をツイートしていたのでまとめました。

その中に興味深い話があったので取り上げます。それによると、西沢都議は

石原都知事は、自分の意見が通らない都議会を『築地市場』というシングルイシューで解散したいと考えている。数字上、民主党が動かなければ知事提案による解散はできないが、自民党公明党が知事の不信任案を提出して、共産党が乗れば成立してしまう」

と発言したそうです。つまり、自公が敢えて不信任決議に賛成して民主党を罠にはめるのではないかというものです。

あくまでも憶測ですが、都議会議員の発言だけに、波紋が広がっています。


共産党が「罠」に乗ってしまい、石原都知事に手を貸すことになることも懸念されています。

解散すれば、共産党も得するかもしれないはずですからね…

前回、議席数を落としていますし、解散選挙があれば取り返せるという期待もあるかもしれませんが。

反石原を貫くという信念の上では、共産党は反石原の方を選ぶと思います…

少なくとも「罠」だということに気付けば素直に乗ることはあるまい…

と思うのですが。


ちょうど同じころ、6日の集会にも出席した河合幹雄氏が自身のブログで解散カードの可能性に言及しました。

東京都青少年健全育成条例(6)都民主党はなぜ賛成したか

 
 石原慎太郎都知事の狙いが、マンガたたきではないことは間違いない。本人のスキャンダラスな作品を見ての想像ではない。政治的に、何が起きたのか、ひとつの推論が成り立つ。
 
 石原の狙いは、再選。状況は、3月都知事選と区議会選挙、都議会は任期が残り二年で、現在自公は過半数を取れていない。何か理由をつけて解散させれば民主党議席減は確実である。再選のためには得意のポピュリズム分野での一発逆転が必要である。マンガ規制に民主党が反対すれば、それを理由に議会解散すればよい。この条例のことを理解すればほとんどの人が反対であろうが、残念ながらマンガのポルノ規制と誤解されている。条例通過後の報道を見ても、マスコミ自体が十分理解してない。選挙に突入して、詳細な報道がやりにくくなれば、勘違いしたままの人々は石原支持までいかずとも、自公支持、民主はなにをしているとなるであろう。都議会で、民主党過半数を切り、自公は過半数を取り戻せば、その恩返しとしての再選の可能性が開けてくる。
 
 このように状況理解すれば、民主首脳が避けるべきは、都民に誤解されたままのこの条例をきっかけに解散されることである。そもそも、民主党への追い風がやんでいるだけでも都議員選挙で民主党が多数通ることはむずかしいのだ。なぜ、私が、このような推論にいきついたか根拠を挙げよう。石原は、漫画家を卑しい職業とまで言って挑発、また、都が再提出した条例案は、少しも譲歩していないどころか、6月に否決されたものよりひどいものであった。それに警察側からみれば、私が、対比のために出した案で十二分である。民主党に否決させたかったとしか理解できない動きであった。付帯決議は、さすがに解散の理由には無理なレベルでカッコがつけられる内容となっている。

http://kawaimikio.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/6-86e2.html

河合氏曰く、青少年健全育成条例が否決されればそれを口実に石原都知事が議会を解散する、

選挙が行われれば民主党は敗北する。それを避けるために民主党は賛成に回ったのではないかという話です。

そして、都議会解散は再選を確たるものにするためではないかというものです。

西沢都議が話していたことと似ていますが、選挙の争点は異なるようです。

ちなみに、Togetterのタイトルは河合氏のブログ記事を知る前に付けたものです。



河合氏の話は仮説としては非常に面白い話だと思います。

ただし、私は解散説には懐疑的です。

なぜなら、国政のように過半数の賛成があれば不信任を通せるわけではないからです。

地方での首長(都道府県知事、市町村長)不信任決議を通すには全議員の3分の2以上が出席する本会議で、4分の3以上の賛成が必要になります。

不信任決議が成立したら、首長は10日以内に議会解散か失職を選びます。

ちなみに、議会解散・選挙後初めて行なわれる議会で不信任決議が出された場合は過半数の賛成で成立し、首長は失職します。


理論上、最低でも総議員の過半数で成立する計算ですが、常識的に考えて反対派を締め出して可決することはほぼあり得ないでしょう。

いずれにせよ、首長不信任が内閣不信任よりもハードルが高いのは当然です。

議員が選ぶ、つまり国民が間接的に選ぶ内閣よりも、住民が直接的に選ぶ首長の方が(地方における)権限が強いからです。

アメリカや韓国などにおいて大統領の弾劾が行なわれない限り罷免される可能性がないことと同じです。

ビル・クリントン元大統領も盧武鉉前大統領も弾劾されたものの罷免には至りませんでした。


地方議会の解散に必要な条件は次のうちいずれか1つ。
 

・首長不信任決議が可決後、議会解散を選ぶ
議会解散の直接請求署名*1を集めて、署名数が規定数を越えたのち、住民投票で賛成多数となる。
・議員数の4分の3以上が出席する中で、出席議員の5分の4以上が自主解散に賛成する。

いずれもハードルが非常に高いです。


特に、都道府県はリコールに必要な署名数も非常に多く、市町村と異なり合併もないので、

自主解散のあった東京都、茨城県と、米軍による占領統治のあった沖縄県を除く44道府県の議会選挙が

統一地方選挙に行なわれているのです。



河合氏は石原都知事猪瀬直樹副知事の発言についても、民主党に否決させる狙いがあるとしていますが、私はそうは思いません。

石原都知事が思ったことを包み隠さずバンバン言うのは今に始まったことではありませんから。

三国人」発言にせよ、「ババァ」発言にせよ、思っていることをバンバン言うからこそ、これらの発言が出てくるわけdす。

つまり、知事の暴言は否決を煽るとかそういう意図を持っての発言だとは思えないというわけです。

よって、私は石原都知事が都議会を解散させるのではないかという見解には否定的です。

ただ、内閣が衆議院を解散するように、首長の裁量で解散できるならとっくにやっているはずです。

それに、民主党側が石原都知事に対抗できるような候補者を擁立できるかというと、何とも微妙ですからね…

*1:有効署名数が一定数(有権者数が40万人以下の場合は1/3、40万人以上の場合は40万人を超える分の1/6を400000/3に足す)を超えることが条件