人権擁護法案、秋にも提出か

人権侵害救済法案提出へ、メディア規制なし 

 
 政府・民主党は、不当な差別や虐待で人権侵害を受けた被害者の救済を目的とする「人権侵害救済法案」を次期臨時国会に提出する方針を固めた。
 
 
 2002年に小泉内閣が提出(翌年に廃案)した人権擁護法案の対案として民主党が05年に作成した法案をベースに修正を加える方針で、擁護法案で批判が強かったメディア規制条項はなく、早期成立を図る構えだ。
 
 民主党は4月に人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム(川端達夫座長)を設置、今国会中に救済法案の骨子をまとめる予定だ。政府は党の作業を踏まえ、人権侵害の定義、国と地方機関の組織のあり方などの制度設計を法務省で行い、次期国会への提出を目指す考えだ。
 
 自民、公明両党の連立政権時の擁護法案では〈1〉人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省外局として設置〈2〉取材を拒む被害者らを継続して待ち伏せることへの停止勧告――などの内容に報道規制や救済機関の独立性への懸念が示され、自民党内でも異論があった。民主党対案は05年の衆院解散で廃案となり、同党は09年の衆院選政権公約マニフェスト)に「人権侵害救済機関の設置」を掲げていた。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110511-OYT1T01191.htm

いよいよ、人権侵害救済法案提出の動きが出てきましたね…

次期臨時国会ということは秋ごろになるのでしょうか…


人権侵害救済法案というのは、人権擁護法案民主党版で、メディア規制条項の全面削除と

救済機関の所轄が内閣府になると言う点、人権委員会に人権団体員が優先的に入るという点が異なります。


そもそも、人権擁護法案は2002年に提出されたときにメディア規制法案と呼ばれ、

マスコミやジャーナリストなどを中心に大々的な反対運動が行なわれていました。

その時には、メディア規制が槍玉に挙げられ、審議されずに衆議院解散で廃案になりました。

その後、2005年に自民党内で再提出が検討されたときに、保守・右派を中心に大々的な反対運動が起こります。

その時の反対論が、「特定の団体*1が『人権侵害だ!!』と言いがかりをつければ、それが人権侵害だとみなされ、言論の弾圧につながりかねない」などといったものでした。

自民党の右派色の強い議員で大々的な反対があった結果、葬り去られました。

2008年、福田内閣の時に再提出が議論され、太田誠一氏が独自の修正試案を定義しましたが、

やはり反対の声はおさまることがなく、自民党からの法案提出は事実上不可能となりました。


保守・右派の反対派の間では、民主党人権侵害救済法案自民党人権擁護法案よりも危険な内容だと言うことで一致してます。


産経新聞が、

同法案は、自由な言論の制限・弾圧につながる危険性が指摘されている。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110513/plc11051315290015-n1.htm

と書いているのは、さすがに産経と言ったところですね。


なお、時事通信の報道によれば、

人権救済法案、臨時国会提出へ=メディア規制盛らず−法相

 
 江田五月法相は13日午前の記者会見で、人権侵害を受けた被害者の救済を目的とする「人権侵害救済法案」について、「民主党の方で考えがまとめられつつある。臨時国会にという話があるが、そういう日程で立法への歩みが進むといい」と述べ、政府・与党内の調整がつけば次期臨時国会に提出する意向を表明した。
 同法案は、不当な差別や虐待で人権を侵害された人を迅速に救済する新たな機関を設置することなどが柱。自民党政権下で提出され廃案となった人権擁護法案には、メディアの活動を規制する項目が盛り込まれていたが、法相は「私たちが考えている法案にはメディア規制は取り込まない」と明言した。 
 民主党は2009年の衆院選マニフェストに「人権侵害救済機関の設置」を明記。党内にプロジェクトチーム(川端達夫座長)を設置して、法案の内容を検討している。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011051300416

と、江田法務大臣は党内の調整が必要との認識の模様。

つまり、民主党の右派系議員が騒ぎ立てれば、提出されない可能性があると言うことだと思います。


ちなみに、一番上に乗せた読売の記事のはてブを見ると、

「わざわざこんな時に・・・もっと今必要な法案を通せよ。」

「聞こえはいいど中味は都条例のアレより規制が厳しくなる法案」

「 警察でさえ裁判所の条令が無いと「踏み込み」が出来ないのに、人権委員会は「侵害を受けた!」と言う証言があれば踏み込みが出来るという、戦前よりも酷い『人権侵害法案』を提出。しかも委員に国籍条項無し。」

とのコメントがありました。


左派的なid:Thscさんが、

「×メディア規制なし ○マスコミにネガキャン張られたからマスコミ規制撤廃/これ、法益の著しい不均衡という弊害を訴える正攻法より、保守の差別意識を煽りまくった方がまだ潰せる目があるって点で本当絶望的な法案よ」

と反対寄りのコメントを残し、保守・右派に反対派が多いことについて非常に歯がゆく感じているような

コメントをしていました。


私は右派的反対論にも左派的反対論にも同意できるところがありますから、

この法案には「反対」という点では間違いなのですが、運動論がややこしいことになりそうです。


詳しい経緯や反対理論などの私の考察など、詳細は近いうちに書きます。

*1:外国政府の意を受けた勢力や市民団体。とりわけ、部落解放同盟朝鮮総連などが槍玉に挙がった。