表現規制問題に関する動き その1 (MIAU編)
MIAUが緊急シンポジウム「青少年ネット規制法について考える」開催
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2008/05/02/19435.html
青少年ネット規制法案、大幅修正か 連休明けにも新案
青少年ネット規制法案に関しては、当初の高市案からかなり修正されたようですが、
Impressの前掲記事にも載っているように、やはり依然として
具体的には、有害情報の定義が非常に広範であり、小中学生が行なっている健全なコミュニケーションが阻害されてしまう恐れや、インターネットを通じた表現活動が規制され、憲法の表現の自由にも抵触するのではないかとの指摘などだ。
という問題点は一向に解消される見通しが立たないのです。
「有害情報」の基準を民間がやるというのは一見、少しは緩和されたように思えますが
むしろ逆で、国の機関であれば表現の自由を制約することに対し、慎重に動かざるを得なくなりますが、
民間団体が「有害情報」の基準を作れば、国家権力なら全く動かないものでもポンポン動いて、
特高警察やゲシュタポや秘密警察や紅衛兵などのように、何でもかんでも「有害だ」とレッテルを張る
ことが容易になってしまうのではないかと懸念します。
しかも、「検閲ではない」という言い逃れの手段とも思えて非常に腑に落ちません。
萩生田光一氏のように、人権擁護法案反対派の中にも青少年ネット規制法案推進派がいるのが
不思議です。バカとハサミと法律は使いようで、人権擁護法案に関し反対派が御懸念されるような
事態が、青少年ネット規制法案で起こる可能性は十二分にありうることではないかと思います。
人権擁護法案や児童ポルノ禁止法改正問題でも言われていたことですが、
さらに、法律や組織はどうしても自己肥大化していくと指摘。「あいまいな形で組織や権限が拡大しない、めりはりの効いた法律ができるよう、意見を述べていく」と話した。
ITmedia前掲記事より
というところは重要です。
右翼団体だろうと左翼団体だろうとカルト宗教だろうと朝鮮総連だろうと、
経済団体だろうと労働団体だろうと、法の権限を悪用して暴走する危険性がないとはいえないので、
仮に、表現の自由を脅かす心配がほとんど無いにしても
監視機構も十分に機能させておく必要もあるでしょう。
それにしても、青少年ネット規制法案に反対するのであれば、
自民党内の人権擁護法案反対派や、政局を作って衆議院解散に追い込みたい小沢一郎陣営や
いろいろな団体を利用して反対していくのがいいのかもしれないと思います。
また現役高校生による、
「高市案に挙がっていた有害情報の定義のうち僕が困るのは、性に関する情報と、いじめに関する情報。性に対する情報を規制されると多くの高校生は一網打尽で、普段のネット生活が根本から変わらざるを得ない」――冗談めかした話しぶりに会場は爆笑。「でもこれは、仕方ない部分がある。教室内でエロ本は回るが、コンビニでは18歳以上の棚に置いてある」と続けた。
「もっと困るのは、いじめに関する情報、学校裏サイトが問題になっているが、実感としては、裏サイトよりも個人ブログで問題が起きる。僕も、自分のブログで大きな論争が起き、ののしり合いをした相手と、リアルでも1週間ぐらい口をきかなかったことがある。論争ぐらいなら有意義だが、(論争相手の)裸の画像が上げられたりするとまずいと思う。いじめの線引きにも関わる問題だが」
(ITmediaの前掲記事より)
という指摘も大変興味深い内容ではないかと思います。
確かに、学校裏サイトばかりが槍玉に挙がって個人のブログでのトラブルが
大々的に取り上げられることはないですからね…
って、高校生の方の例は、リアルの友人が誰か分かるのですから半実名じゃないですか。
匿名性とは関係ありませんね…
それにしても、高校生の方がこれだけのことを言えるのは非常に素晴らしいと思います。
その高校生が他に述べた
ただし、店舗でアダルト雑誌を子供に売らないことで対応していたような時代とは異なり、「そういう規制はネットでは全く機能していない。それに関して何とかしなければならないというのは納得いく」とも述べた。
Impress前掲記事より
ということに関しても、高校生とは思えない金言だと思いますので、
皆さんも心にとどめておいてください。
あと、産経から次のような記事が見つかりました。
有害サイトの法規制に難色、総務相
増田寛也総務省は30日、インターネットの出合い系や自殺系といわれる有害情報・サイトの規制をめぐり、自民党内で法制化の動きが出ていることに関し、「どこでだれが線引きをするのかという問題があり表現の自由だとか、過剰な規制になりかねないという危険性がある」と指摘。その上で、「第三者機関が一定の認定をしたものに対し、何らかの手段を講じるという形が自然なのではないか」と述べ、国が法規制することに難色を示した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080430/plc0804301907009-n1.htm
産経新聞が、青少年ネット規制法案が人権擁護法案と同じような問題点をもっていると
考えているのかどうかは定かではありませんが、増田寛也総務大臣の言葉を取り上げて、
ネット規制慎重論を報じました。
高市早苗氏らをはじめとする自民党のネット規制推進派の皆様には、
増田大臣の発言を聞いてネット規制法案を思いとどまっていただきたいと思います。*1
最後にこの法案における「有害情報」の定義ぐらいは覚えていただきたいと思います。
この問題を議論するには必要不可欠ですからね…
1)青少年に対し性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼす情報
2)青少年に対し著しく残虐性を助長する情報
3)青少年に対し著しく犯罪、自殺及び売春を誘発する情報
4)青少年に対し著しく自らの心身の健康を害する行為を誘発する情報
5)青少年に著しい心理的外傷を与えるおそれがあるいじめ情報
6)青少年の非行又は児童買春等による青少年の被害を著しく誘発する家出情報Impressの記事より