表現規制反対運動の曲がり角?

http://d.hatena.ne.jp/slpolient/20080818/1219052852 で書いたとおり、

コミックマーケットという大舞台でさえも児童ポルノ法改定反対の署名は

12,000人〜20,000人ほどしか集まらなかったそうです。*1

拡大集会(7月21日)の時点で市川孝一氏が把握しているだけで、

日本ユニセフ協会は3万人分も集まっているというのに、雀の涙ほどの署名しか

集まっていないのが現状です。


そこで思ったのですが、

表現の自由」だけを錦の御旗にした表現規制反対運動は限界に来ていると思います。

では、どのような反対論を新たに醸成すればいいのでしょうか。

このヒントとなるのは、今まで何度も何度も書いてきましたが、人権擁護法案です。


人権擁護法案反対論は、当初はメディア規制という観点と、「政治家や官僚が自分にとって

都合の悪い報道を潰すために使うおそれがある」という主張から行われ、

2002年前後の反対運動の中軸を担ったのは、マスメディアとジャーナリスト、左派系市民団体でした。

これらの反対論が渦巻く中で人権擁護法案が提出されましたが、反対の動きや政局などもあり

2003年秋の衆議院解散により自動的に廃案になりました。


2005年の春になって人権擁護法案提出が再燃すると新たな反対論が登場しました。

北朝鮮拉致問題解決の妨げになる」、「北朝鮮や中国に不都合な言論が弾圧される」

などという反対論が登場し、インターネットの世界や保守論壇を席巻し、

多くの保守系ジャーナリストや評論家、国会議員が反対運動を大々的に展開し、

これらの動きによって、人権擁護法案は事実上潰れました。

そして、今も今後も再提出の動きがあるたびに保守論壇は騒ぎ立て、主にタカ派で構成される

自民党の反対派はかたくなに反対しているので、下手をすれば自民党分裂を招きかねません。

これではさすがに推進派の古賀誠氏(選挙対策委員長)もそう簡単に提出できまい。

よって、人権擁護法案が成立する可能性は今のところ皆無と言っていいのではないかと思います。*2


というわけで、人権擁護法案のように、保守派を奮い立たせるようなセンセーショナルな

反対論を普及させることによって、表現規制などを阻止するというのも、

一種のアイデアではないかと思います。

一度、そういった反対論が普及すれば、あたかも永久機関のように

半永久的に表現規制が行われなくなるかもしれません。


例えば、こんなものはどうでしょう。

漫画、アニメ、ゲームなどは日本国が全世界に誇るべき文化であり、護持されなければならない。

それを潰す、児童ポルノ法改定などの創作物規制を推進する人は、「国賊」、「売国奴」である、

愛国者であるならば、これらの創作物規制を推進することはしてはならない、

もし創作物規制が行われれば、漫画、アニメ、ゲーム文化は根こそぎ中韓に強奪されてしまうぞ!

大々的に宣伝し、保守派を焚き付けることはできないだろうか?と前々から思っており、

このブログにも何度も書いております。


愛国心に訴えかけて、表現規制を推進する奴は中国や韓国に漫画、アニメ、ゲーム文化を売る

国賊」、「売国奴」だと主張し続ければ、保守派の皆さんも反表現規制

転向してくれるのではないかとささやかに期待しております。


うまくいってくれればいいのですが…

単純所持で誰でも気に入らない相手を逮捕できる。

単純所持規制に関してもヒステリックな反応を何らかの形で引き立たせる手だては無かろうか…

というわけで、痴漢冤罪を元にアイデアを考えました。


痴漢冤罪が問題になるにつれて、痴漢でっち上げ事件も取り上げられるようになりましたが、

痴漢をでっち上げることができるのであれば、単純所持をでっちあげることができるのではないか?

それも、一般人ではなく、政治家やジャーナリストなどに対して行われた場合にはどうだろう。

児童ポルノ」を押し付け、その現場を取り押さえることにより誰でも性犯罪者に仕立て上げることが

可能になります。

現行犯逮捕ですから刑事訴訟法の規定により、令状は一切不要ですし、誰でも逮捕できます。

よって、北朝鮮に都合が悪い言論を弾圧するために単純所持禁止が悪用されるおそれがあります。

北朝鮮を、中国共産党やCIAや創価学会アルカイダなどに置き換えることも十分可能でしょう。


少なくとも、理論上は安倍晋三に対してさえもこの手口がつかえてしまうという恐ろしい手口です。

ごく普通のサラリーマンから政財界の大物まで、どんな人でも社会的に抹殺できる、

まさにテロリストにとって究極の武器となりうるものなのです。


昼間たかし氏は単純所持について、「司直に魔法の手を与えてしまう危険性がある」と述べていますが、

現行犯逮捕という手法を用いれば、昼間氏の言うところの「魔法の手」を使えるのは

警察や検察、裁判所だけでなく、一般の人でも北朝鮮工作員でも誰でも使えるのだ。
児童ポルノ」さえあれば、福田康夫だろうが小沢一郎だろうが誰だろうが物の見事に潰すことが

できるのではないでしょうか。もちろん、ここで言う「児童ポルノ」とは、必ずしも児童が性的な行為を

しているなどといった一般的に誰がどう見ても「児童ポルノ」だと断言できるものとは限らない。

子供がお風呂の中で裸で遊んでいる写真であっても構わないのです。


中川昭一氏は、以前人権擁護法案を批判する際に、

「法案が成立したら(人権侵害の名目で訴えられ)わたしも麻生太郎前幹事長も安倍晋三前首相もブタ箱(留置場)に行くことになりかねない」

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080216/stt0802162033003-n1.htm より

と述べたが、実際には人権擁護法案で留置場送りになることはありえない。*3

しかし、児童ポルノの単純所持禁止を悪用すれば昭一氏もいとも簡単に留置場送りにでき、

政治家生命を脅かすことも可能になるのです。

もちろん、中川昭一氏も例外ではありません。


単純所持禁止が施行されると、「奴ら」は、好きな時に好きな人を逮捕できるようになります!

「奴ら」には、各々方が気に入らない属性の人物や組織などを好きに当てはめていただければ結構です。

「奴ら」にとって、単純所持禁止はあなた方を地獄の底に貶める最大の凶器になるのです。


こういった法案を通すわけにはいきません。

議員の皆さんにはぜひともこの事実を知っていただき、この法案に反対していただきたいと思います。

もっとも、わざと針小棒大に言っているのは明らかですが…

備考

ちなみに、痴漢に関して冤罪が起こりやすいのは、現行犯でないと逮捕することが事実上不可能だという

点ではないかと思います。あとは、混雑している車内で痴漢があったとしても、客観的に痴漢であるか否かを

判断するのが難しく、状況証拠を把握することが極めて困難で「被害者」の主観による証言に頼らざるを

得ないという事情もあると思います。*4




余談ながら、冤罪という点では、松本サリン事件の河野義行氏が単純所持禁止について

どのような見解をお持ちなのか、気になるところではあります。

あと、市川氏自らが政治活動するつもりがあるのかどうかは若干気になるところではあります。

*1:ちなみに、以前AMIが同様の署名運動をやった際には25,000人ほどの署名を集めたそうです。

*2:ちなみに、私は人権擁護法案に反対です。

*3:これを引用するたびにいつも思うのですが、昭一氏は法案を読めないのではないかと気になってしまう。 法案を読んだら、人権委員会に逮捕する権限がないのは明らかなのだが…

*4:もちろん、警察側の強引な尋問などもありますが…