萩生田光一氏に見る表現規制観

市民団体、名も無き市民の会が東京選出の国会議員にアンケートを送っているそうです。

その中には児童ポルノ法の話題もあります。

まず、萩生田光一氏と保坂展人氏の回答が返ってきたので、萩生田氏の回答を引用してみたいと思います。

 

Q3:所謂「人権擁護法、人権救済法」等の制定に関して
 公的機関による人権侵害案件ではなく、私人の言動や経済活動などによる人権侵害についても、強制調査権を新たに設置する機関にまたは既存機関に付与し、法的処罰を与えるための包括法(現在までに議論された法案としては人権擁護法、人権救済法など)を制定することに関して、議員は1〜3のどちらに近いお考えでしょうか。

2:反対
定義が曖昧で、絶対阻止すべき。


(中略)

 
Q7:児童ポルノ法改正問題に関して
 先の国会にて、児童ポルノ法に対して「児童ポルノ単純所持罪」を設ける内容の改正案が提出され、現在も審議継続となっております。「単純所持罪」の導入に関しては、主に「被害者の心情を考慮して、導入するべき」という積極的な立場と、定義の曖昧さと複製の容易さから「捜査権限の濫用、冤罪・遡及事件の多発、行き過ぎた監視社会化」等を憂慮する消極的な立場とがあるようです。議員は所持罪導入に関して1〜3のどちらに近いお考えでしょうか。

1:賛成
法はつくり、家族のスナップ等、適用除外をつくればよい。

Q8:児童ポルノ法改正問題に関して
 また、先の児童ポルノ法改問題に関して、被害者のいない「イラスト」等の創作物も社会風紀を取り締まるべく違法な児童ポルノとして扱うべきとする議論もありますが、議員は「イラスト」等の創作物を児童ポルノとして扱う事に関して1〜3のどちらに近いお考えでしょうか。

3:その他
イラスト描写の内容にもよる。


http://namonakishimin.web.fc2.com/enquete/01/hagiuda_kouichi.html より

言うまでもなく、萩生田氏は人権擁護法案に強く反対しています。

ただ、その一方でネット規制推進派の筆頭の一人でもあります。


さて、萩生田氏の児童ポルノ法改正問題についての見解ですが、単純所持に関しては賛成を表明しています。

「法はつくり、家庭のスナップ等、適用除外をつくればよい。」との事ですが、

法案を審議する段階で適用除外対象を定めればよいのだと解釈すればいいのでしょうかね…


単純所持規制を利用すれば、たとえば北朝鮮工作員北朝鮮に不都合な人間を社会的に抹殺することが

可能だというアイデアを、萩生田氏はお持ちでないようですね…


あと、創作物規制については、「イラスト描写の内容にもよる」とどちらとも付かない判断を下しているようです。

萩生田氏はどの程度のものを想定しているのか、どんな規制を想定しているのか、私には想像がつきませんが、

心情的にはどちらかといえば規制推進に近いものだとお察しいたします。

基準が曖昧だと人権擁護法案を批判している以上、言葉を濁さざるを得ないのかもしれませんね…

(そう言いつつも、萩生田氏はネット規制には基準が曖昧にも関わらず賛成していますが…)

ただ、私が何度も申し上げてきたとおり、人権擁護法案のロジックを応用して、

児童ポルノを一方的に押し付けることによってあなたでも誰でも性犯罪者に仕立て上げることができる」、

「単純所持が禁止されれば、北朝鮮や中国などに不都合な言論を弾圧することが可能になる」、

創作物規制をする奴は、国賊反日売国奴だ!!」といった意見を唱えることによって

萩生田氏を翻意させることができればいいのではないかと考えております。




さて、それらを受けた上で、私の思ったことを書き連ねていきたいと思います。


私は全くもって成人向けものに疎いのですが、商業用は同人誌よりも規制が緩いという話をちらほら見ます。

松文館裁判の判決が最高裁で確定し、漫画もわいせつ罪の対象となることが判例で確定したのですから、

過激な性描写に関しては、わいせつ罪を適用することによって取り締まることができるという考えはないのでしょうか?


わいせつ罪を恣意的に運用すれば、わざわざ児童ポルノ法を変えなくともいいのではないかと

皮肉の一つや二つを言いたくなります…

わいせつの基準なんて、戦後60余年の間にコロコロ変わっているんですから…


私も、あまりにひどいエロマンガはわいせつ物陳列罪で取り締まればいいと思っていますし、

過激な水着を着た写真集なども児童ポルノと認定されなくとも、児童福祉法違反などで取り締まることは

できないのではないかと思います。

つまり、現行法を厳格に運用すればいちいち法律を変える必要がないのではないかということです。


創作物規制を推進する奴は売国奴だ!!」という主張に対する反論として、

「子供に見せられないようなものを作るのは国辱ものではないか」というものがありましたが、

それに対しては、「わいせつ罪で取り締まればいいではないか」と反論すれば、まずはいいのではないかと思います。

「わいせつ」という定義は、判例の蓄積が多くありますし、大まかな定義として

「徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」

というものが確立しているのですから、無秩序に規制の範囲が広がる可能性に関しては、児童ポルノ法の

「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの 」という基準よりも

ぐっと狭いこともあり、少ないのではないかと思います。

公権力や、北朝鮮工作員などによる濫用や恣意的な運用により、言論弾圧などに「悪用」されることも

まず無いのではないかと私は考えております。



ところで、この記事を紹介してくださった藤原興さんは今のところ、ご自身のコメントを

寄せていないようですが、また今度コメントされるものだと期待すればよろしいのでしょうか?

楽しみにお待ちしております。