フランケンシュタイン・コンプレックス
フランケンシュタイン・コンプレックスという言葉をご存知だろうか?
フランケンシュタイン・コンプレックスとは、アイザック・アシモフが提唱した概念の一つであり、
人造人間やロボットを作りたいという欲望と、彼らに襲われるのではないかという恐怖の入り混じった
複雑な感情のことを指す言葉です。
フランケンシュタイン・コンプレックスという概念の背景には一神教のキリスト教的道徳観があるのではないかと思われます。*1
よって、八百万の神とも言われる日本では欧米ほど気にされることは少ないというのは私の気のせいでしょうか?
いずれにせよ、日本人はロボットを作ることに関する恐怖心が薄いというのは明らかで
『鉄腕アトム』や『ドラえもん』を始めとしたロボットが登場する漫画やアニメなどは枚挙に暇がない。
工業用ロボットの開発がもっとも進んでいるのも日本である。
さて、なぜフランケンシュタイン・コンプレックスを持ち出したかというと、
法律に似たようなことが言えるのではないかと思ったからです。
つまり、法律が作った人の思惑を離れ、作った人に対し襲い掛かってくる…
そんなことがあるのではないかと考えたからです。
何せ、国会議員が法案を作ったところで、運用するのは国会議員ではない。お役人である。
刑事処罰を設けてある法律であれば、警察や検察といった捜査機関や、裁判所が
法律を事実上運用していくことになるが、やはり国会議員のコントロールを多少なりとも
離れるという事実には変わりはない。
ひいては、誰かがあなたを社会的に抹殺するために悪用しないとも限らない。
北朝鮮に悪用されないという保証は何もない。
刑事法を運用するのは何も警察権力や司法権力とは限らない。
法律は、自分の思ったこととは違う方向に運用されることがままあるのである。
だから、私たちは新たに法案を作ることに対する恐怖を自覚しなければならないのだ。
運用する時には自分たちの手から離れてしまうのだから…