国籍法改正問題についての雑感

国籍法改正案審議入り 不正認知横行の懸念も

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081115/stt0811150054000-n2.htm

臨時国会も山場に近づく中、国籍法改定案が急浮上し、一部で大きな問題になっています。


未婚の日本人男性と外国人女性の間に生まれた婚外子の子供(出生後に認知)に日本国籍

認めないことは憲法違反だとする判決が最高裁判所で出されたため、違憲状態を解消するために

両親が結婚していなくても出生後に父親が認知すれば、届け出によって日本国籍を取得できるように

するのが今回問題になっている国籍法改正案です。その経緯については、

国籍法改正について語るための基礎知識(1):違憲判決の図解

http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20081115/1226728277

で解説されていますので、こちらをご覧ください。

何が問題視されているのか?

国籍法改定案は4日に閣議決定されましたが、解散総選挙に気を取られていた議員たちが中身を

あまり知らないままに手続きが進みました。

そして、保守系議員らから「日本人男性と、子供に日本国籍を取得させたい外国人女性を対象とした

不正認知の斡旋が横行する」などとの批判も急速に台頭してきました。ネット上では、人権擁護法案

時と同様に、「中国や朝鮮に日本を乗っ取られる」などといった論調が飛び出しています。

反対派議員もほぼ同様の考えと推測して差し支えはないでしょう。

私個人の見解

私はある程度、懸念を表明しますが、そんなに大騒ぎするほどでもないのではないかと思います。

何故なら、閣僚の中に人権擁護法案反対派の急先鋒である中川昭一財務・金融担当大臣がいるからです。


国籍法改正案は閣法ですので、必ず閣議決定が必要です。

そして、閣議決定は全会一致の原則を取っています。

よって、閣議決定されたということは中川大臣も認めた。つまり、中川大臣が問題なしと

判断したということなのではないでしょうか?ということです。


ただ、中川大臣は人権擁護法案に反対する考えを述べた際に、

「成立すれば留置場行き」という、法案を読んでいればありえないと分かる話を信じていたので、

ろくに国籍法改正案も読んでいないのではないか?という心配もあります。

大臣ともあろう人がお役人が持ってきた法案を読まずに鵜呑みにするのでしょうか…*1

衆議院のページに掲載されている法案は、A4用紙2、3枚程度の内容なので、

大臣ともあろう人が読み飛ばすとはとても考えたくないのですが…

あと、閣議は秘密会で議事録があるわけではないので、どのような背景があったのか

分からないところも気になります。


あと、現行法では虚偽認知、偽装認知に罰則がないことを初めて知って非常に驚きました!!

個人的には、こっちの方が国籍法改定案よりも驚くべき事実だと思っております。

ちなみに、たとえこの国籍法改定案そのものに問題がないとしても親子関係の認知に

DNA鑑定を用いることには賛成いたします。具体的にどのような時にDNA鑑定を用いるかは、

今後じっくり審議していく必要があるのではないでしょうか。


少なくとも、私の見解では今回の改定案には問題あり。しかし、現状の違憲状態が続くのも

さすがにまずいということだけは確かなように思います。いずれにせよ、慎重派です。

今回はあまりに急なので、審議もろくにせず法案を通してしまうのは大問題です。

臨時国会は30日まであるのですし、野党も大きな混乱を起こす見通しも無いのですから、

なんとか修正できる可能性はあるのではないでしょうか…*2

今後の動向はどうなるのか?

国籍法改正問題で慎重審議を申し入れ 有志議員32人

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081114/stt0811142028003-n1.htm

の記事によると、国籍法改定反対派の有志たちは17日に集会を開催し、問題点を検証するとの事です。

しかし、衆議院での採決はその翌日の18日に予定されているそうなので、成立を阻止、あるいは

引き延ばしできるかどうかは非常に難しいのではないかと思われます。


もし、彼らの抵抗空しく採決されることになったのであれば、反対派の皆さんはどうするのでしょうか?

造反し反対票を投じる、あるいは欠席するつもりでしょうか?

バリケードを張ったり、牛歩戦術などの議事妨害によって採決を阻止するには人数が少ないですし、

自民・公明・民主が賛成しているのですから、一度採決されたら否が応でも成立するのは間違いないでしょう。

重要法案だというわけではないので造反したところで党からの処分は無い、あるいは勧告という

ことになるのではないかと思います。

もちろん、反対派議員は必死になって阻止するでしょうから、先送りになる可能性もあるでしょう。

引き延ばし戦術以外に他はないと思われます。




まあ、いずれにせよ私は動向を見守っていくことにします…

*1:私は、そうであってほしくありませんが…

*2:しかし、反対派が聞くという保証はありませんし、私でも納得するような案が出るとも限りません