鳩山発言の中身が薄い雑記
鳩山総務相は18日の衆院予算委員会で、児童ポルノを個人的に所有する「単純所持」について「断固として禁止するべきだ。表現の自由で守られる法益と、児童ポルノで失われる人権を比較すれば、表現の自由が大幅に削られてかまわない」と述べ、単純所持を禁止する法改正を進めるべきだとの考えを示した。
公明党の丸谷佳織氏の質問に答えた。鳩山氏は法相だった昨年6月、東京で開かれた「G8司法・内務相会議」で議長を務め、児童ポルノについても各国代表と議論した。与党での議論をふまえて、児童ポルノを個人的に収集・所持する「単純所持」を原則禁止する、児童買春・児童ポルノ禁止法改正案が、議員立法で国会に提出されている。
http://www.asahi.com/politics/update/0218/TKY200902180297.html
鳩山総務相の質疑について書こうと思い、誰かが議事録を
アップロードするものだと思って待ちましたが、なかなかそういった情報が
入ってこなかったので、とりあえず書くことにしました。
はっきり言って、この発言はいろいろな意味でトンデモない発言です。
「表現の自由が大幅に削られてかまわない」という発言もそうですが、
鳩山大臣の発言は創作物規制と単純所持規制をごっちゃにしている可能性があります。
単純所持は創作物規制とは異なり、表現規制との直接的な関連は薄いのです。
(間接的な規制ではありますが、表現の自由を制約する要素があるのは確か)
そして、
“表現の自由削られても構わない”
鳩山邦夫総務相は十八日、衆院予算委員会で、与党が議員立法で提出している児童ポルノ禁止法改定案について、「表現の自由で守られる公益と、児童ポルノによって失われる人権とを比較すれば、表現の自由という部分が大幅に削られて構わないという比較衡量(こうりょう)はできるはずだ」と述べました。衆院予算委員会で公明党の丸谷佳織議員への答弁。
日本国憲法第二一条は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」としています。鳩山総務相の答弁は、児童ポルノの「単純所持」を一律に規制したり、漫画・アニメーションなどの創作物も規制の対象に検討する与党提出の児童ポルノ禁止法改定案が、憲法で保障された表現の自由を脅かすことを認めたものです。公明党の丸谷氏は「議員立法と同趣旨のことを答弁していただいた」と述べました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-02-19/ftp2009021904_04_0.html
と、日本共産党は痛烈に批判しています。
共産党は表現の自由を国家権力が制約することに極めて批判的ですからね。
子供の人権と表現の自由を考える会のアンケートで知りました。
せっかく、かんぽの宿問題のときは、「よく言ってくれた」と思ったものですが、
これで台無し。そもそも、法務大臣の時から規制に前向きな発言をしていたのは
間違いないので、特に人柄から見て変な発言だとは思いませんが、
「表現の自由が大幅に削られてかまわない」と平気で言えるのは、
ちょっと、いや結構危なっかしいのではないでしょうか…
まあ、実際「表現ノ自由ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」というほどの物ではなく、
ある程度の制約が課されるのは当然だとは思いますが、
大臣が「表現の自由が大幅に削られてかまわない」というのはあまりも
ひどい。デリカシーもない発言ではないかと思います。いろいろな意味で。
冷静に考えれば、Quietworksさんがおっしゃるように、
単純所持の規制で守ることができる法益が表現の自由を削る理由になるほど大きいと《単純に誤解》しているのではないか。効果を過信しているからこそ「大幅に削られてかまわない」とまで言い切ることができる。
という考えなのでしょうね。
よく誤解されることですが、規制推進派は、善意に基づいて行動している
ということは間違いない事実なのですから。
これが一番厄介なところです。
そして、我々規制反対派が規制推進派に対ししている一番大きな誤解なのです。
規制推進派は、規制反対派に悪意を持っているわけはなく、むしろ、
表現を規制することによって社会をよくしていこうという善意に基づいて行動
しているのだということを心にとどめておかなければならないことを
伝えておかねばなりません。