西松建設事件をきっかけに陰謀論について再考してみる

まず、この事件で出てきたのは、捜査が入った時点で民主党側によって主張された

政府与党による陰謀論である。「不公正な国家権力、検察権力の行使」だという、

小沢代表の強気な記者会見にあるように、民主党幹部からも同様の陰謀論が唱えられている。*1

政府高官*2がオフレコで「自民党に捜査が及ぶことはない」と

発言したことも、この陰謀論の「証拠」とされた。


私が佐藤優氏の「青年将校のように、政権交代国益を害すると信じて捜査したのだろう」

という見解を、3月に時効が迫っているという反証が出てくるまで信じていたのも、

「政府与党の陰謀」という陰謀論を用いなくても、このタイミングであることを

合理的に説明できると思ったからです。


予言が現実になった - 『内憂外患〜どうするニッポン』

http://news.www.infoseek.co.jp/special/j-is/commons0903_004


ロッキード事件陰謀論の焼き直しにすぎず、しかも、わざわざアメリカ政府が

日本の検察を操ってまで封殺するほどたいそうな問題とは思えません。

米軍は中長期的には日本から撤退していく傾向にあり、「第七艦隊」発言も

語弊がありますが、将来、米軍が撤退していく可能性とその今後の方向性についての

発言という意味合いがあるのではないでしょうか。


その一方で、田中宇氏の

 2月25日、民主党小沢一郎代表が「日本が自分たちのことを自分たちでやる決意を持てば、米軍が部隊をそんなに日本に置いておく必要はなくなる。おおむね第七艦隊の存在で十分ではないか」と発言した。

 この件について、米国ではほとんど問題にならなかったが、日本のマスコミなどでは「日米同盟をないがしろにするものだ」「米に誤解される」という対米従属派の非難から、「日本の軍事拡大を煽っている」という左派からの非難まで、ほとんど批判ばかりだった。対米従属派と中道左派呉越同舟民主党内でも、右と左の両方が小沢氏を批判した。

 私は偶然、小沢氏の発言の前日の記事「『アジアの世紀』の光と影」で、米国は覇権を衰退させつつあり、在日米軍がいつまで駐留し続けるかわからないのだから、日本人は自分たちを腐らせている対米従属をやめて自立した方がよい、さもないと、自立的な中国は台頭するのに、対米従属的な日韓は落ち目になる、という趣旨のこと書いた。日本の自立的な防衛力保有に反対している「護憲」の人々も、対米従属派に利用されているとも書いた。(「アジアの世紀」の光と影

 こうした私の視点からすると、小沢氏の発言は日本の政治家として妥当であり、彼の主張を非難する人々の方が、外務省などが巧妙に発する対米従属のプロパガンダに乗せられてしまっている。小沢氏は、この発言をする一週間前の2月17日、訪日した米クリントン国務長官に会っているが、もしかすると小沢氏は彼女との会談で、米国が日本から出ていく傾向にあることを察知したのではないか。クリントンは、前出の私の記事で紹介したダグ・バンドウの忠告を守って、米国は日本をずっと庇護下に置き続けるつもりはないと、日本側に非公式に示唆したのかもしれない。

http://tanakanews.com/090303japan.htm

という内容の記事をアメリカの真意だと仮定すると、むしろ陰謀論としては

将来対米従属ができなくなるという事実に目をそむけようとする勢力の陰謀だと

いう陰謀論も十分成立するわけです。


また、id:Prodical_Sonさんは次のような記事を書いています。

西松建設献金問題の発端は次期衆議院選挙で小沢の対抗馬となる元秘書だった!?

http://d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20090306/1236314972

この記事を見る限りでは、元小沢氏秘書で今度の選挙で自民党から立候補予定の

高橋嘉信氏が事件の黒幕だという陰謀論のようにしか思えません。



とにかく、陰謀論というものはこじつけようと思えばいくらでもこじつけられるものです。

理屈をこじつければ、陰謀論の定番中の定番の「ユダヤの陰謀」、

フリーメイソンの陰謀」だけでなく、「反日勢力の陰謀」だとか

どんな出来事でも、どんな人物ないしは団体の陰謀にできてしまうのが陰謀論のすごいところです。


そして、陰謀論を信じてしまった人は、たとえどんなことを言われたとしても

撤回するということはほとんどないというのが実態なのです。

そういうことを考えると、陰謀論を信じてしまった時点でいろいろと

ヤバいということは間違いないんでしょうね…

○○○は終わりだ… (伏字の中身は自由に当てはめて下さい。)

疲れたので、また続きを書きます…

*1:もっとも、少しずつ弱気になってきているようですが…

*2:後に漆間官房副長官によるものだと明らかになる。