児童ポルノ取締り強化は当然必要だが…(各紙面比較)
読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090618-OYT1T00390.htm
http://www.asahi.com/national/update/0618/TKY200906180132.html
http://mainichi.jp/select/today/news/20090618k0000e040037000c.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090618/crm0906181028001-n1.htm
http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009061801000246.html
詳細に関しては、各紙の記事を見ていただきたいのですが、
各紙で一斉に、警察が児童ポルノの取り締まりと被害者支援のために、
画像や音声から撮影に関わった人物や場所を割り出す画像捜査を導入すると報道されました。
私は現行法で取り締まりできるものはどんどん取り締まるべきだと思っていますので、
現行法上での取り締まり強化及び被害者救済は歓迎したいと思います。
しかし、これで被害者が救えるか若干の疑問はありますが…
ただし、私が気になったのは今回の改正問題で問題になっている、
単純所持規制と創作物規制に対する言及です。
そこで、各新聞ごとに簡単にまとめてみました。
新聞 | 単純所持の言及 | 表現規制の言及 |
---|---|---|
読売 | なし | なし |
朝日 | あり | なし |
毎日 | あり | なし |
産経 | あり | あり |
日経 | なし | なし |
東京 | なし | なし |
共同 | あり | あり |
毎日新聞と並んで規制推進寄りと目される読売新聞の記事では、
「児童ポルノ対策の後進国」として国際社会から批判されている汚名を返上するため
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090618-OYT1T00390.htm
と書いているものの、単純所持規制、表現規制には言及されていません。
朝日新聞は、
警察庁によると、G8加盟国で単純所持が禁止されていないのは日本とロシアだけ。日本は各国から「取り締まりが甘い」「児童ポルノの温床になっている」などと指摘されることがあるという。
http://www.asahi.com/national/update/0618/TKY200906180132.html
と、単純所持規制に言及しているものの、単純所持に言及する他紙に比べ、
「指摘されることがあるという」という少しぼかした表現が使われています。
産経新聞は大手紙の中で最も記事の分量が少ないのですが、二段落目に
日本は先進諸国で大勢となっている児童ポルノ画像の単純所持やアニメ、ゲームの規制がなく「供給国」との国際的非難を浴びている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090618/crm0906181028001-n1.htm
と書かれています。以前取り上げた記事では、イクオリティ・ナウの活動を
「外圧」と呼び、記事中でネットスラング的な「児ポ法」という略称が使われるなど、
規制反対寄りの論調の大きな記事が掲載されました。
そういうことを考えると、産経新聞では規制推進寄りの立場をとる記者と
規制反対寄りの立場を取る記者との間で派閥抗争でもあるのではないかと思っています。
毎日新聞は大手紙でもっとも多い分量の記事を書き、詳細についても載せています。
前半の捜査などの方法については、中身に少し気になるところはありますが、
「なるほど」とそこそこ感心して見ましたが、後半になると毎日論調です。
記事の後半分を単純所持規制を訴える記事でまとめています。
日本ユニセフ協会に掲載された被害女性の声*1を掲載するなどし、最後に
捜査幹部によると、画像をやり取りしていたのは数十人だが、逮捕者16人を除くメンバーは罪を問われなかった。幹部は「提供罪の時効が3年と短いのも障害だったが、単純所持があれば摘発できた可能性はある」と話した
http://mainichi.jp/select/today/news/20090618k0000e040037000c.html
と踏み込んだ内容を書き、単純所持規制を強く訴えています。
こういう記事を比べて見ると、毎日が規制推進派の筆頭で、次に読売新聞。
朝日新聞はどちらかというと関心が薄い。
産経新聞は推進派寄りと反対派寄りでせめぎ合いが行われている。
この仮説が正しいかどうかは分かりませんが、この記事によって
各紙のこの問題に対する態度が透けて見えるのは
間違いないことだと思います。
*1:もちろん、この被害者の声を聞くと心は痛みます…