ブックマークのコメントで拡大解釈の危険性を思い知る

先日の記事にブックマークがついたので、そのコメントを見たらこんなコメントがありました。

表現規制は一切しません」って、名誉毀損罪や侮辱罪を廃止するってこと?公務員の政治活動も?戸別訪問も解禁?/殺人罪による殺害行為の規制も表現規制だったり。

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/slpolient/20091028/1256731179

このコメントがいう「表現規制」はとんでもない拡大解釈です!!

確かに、極論すればそのコメント通りに名誉毀損に対する処罰も表現規制といえるでしょう。

しかし、我々が単に「表現規制」というときには、一般的にもっと狭い意味合いで、

マンガやアニメ、ゲーム、ネットなどのサブカルチャーにからむ規制のことを指します。

創作物規制」や「二次元規制」と呼ばれることもあります。


ブックマークのタグ「表現規制」を含む新着エントリーを見ても、

名誉毀損表現規制タグで取り上げているケースはほとんどなく、

ほとんどサブカルチャーがらみの表現にからむ問題なんですけれどもね…


確かに、公務員の政治活動制限に関しては憲法21条に違反するという判決が出たことがある*1ようですが、

戸別訪問の禁止も表現の自由に反するとして地裁で違憲判決が出たことはありますが、

最高裁では一貫して合憲判決が出ています。

広義の表現規制には当てはまるかもしれませんが、我々の文脈でいう表現規制にはあたりません。

ましてや殺害行為の規制も表現規制だというのはあまりにも論理が飛躍しすぎています!!

名誉毀損罪や侮辱罪を廃止するだなんて誰も言っていませんし。




そもそも、「表現規制は一切しません」うんぬんも、揶揄なんですけどね…

「皮肉を込めて」と書いてあることからもそれだと分かるはずなのですが。

なぜ大真面目に受け取ったのか分かりません…

「一切」という強い表現を用いたにせよ、皮肉や揶揄だと読み取れる文脈だったはずですけどね…


このコメントを見て痛感させられたのは、

やっぱり、拡大解釈というのは怖いものだということです。

我々が「表現規制」と言ったときに、具体的にどのようなものに対する規制かという

暗黙の了解が確立しているにもかかわらず、その暗黙の了解を無視して

トンデモなレスをよこしてくるのですから、

我々と暗黙の了解を一切共有していない側が、どういう拡大解釈してくるか

分からないから怖いんです!!!

*1:旭川地裁で1968年に出されたものなどがある。 ただ、法律を違憲とするものではなく、当該事件に対する適用に限って違憲を宣言する適用違憲の手法を用いたもの。