黒塗りのパブリックコメント

「マンガ論争勃発」の昼間たかし氏が以下のような報告をしています。

審議会パブコメ・絶賛賛成は1%?と5月決戦の行方



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 西沢都議のおかげで、ようやく東京都青少年問題協議会答申素案に寄せられたパブコメに目を通すことができたので早速報告する。
 
 ここに寄せられた1600通あまりのパブコメに目を通して、まず驚いたのは膨大な黒塗りである。

 東京都が開示しない理由の詳細について述べたのが下記の表なのだが、なぜここまで塗りつぶしが必要なのか、まったく意味がわからない。


※黒塗りの例※


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 東京都が開示しない理由の詳細について述べたのが下記の表なのだが、なぜここまで塗りつぶしが必要なのか、まったく意味がわからない。


※東京都による開示しない根拠規定と理由※

(画像)

 なぜなら、表に示された根拠に基づいて既に議事録で明らかになっている委員の発言と、それに対する批判までもが「誹謗中傷」と判断されたのか塗りつぶされているからだ。膨大な黒塗りからは、おそらく議事録の部分を引用したのでないかということは、容易に想像つくのだが、何故に公開されているものに対する批判を塗りつぶすのかが理解し難い。
 
 さらに、この黒塗り、ところどころでミスがある。
 まず、いくつか見られたのは個人情報の黒塗りが漏れていたり、ペンが薄かったのかコピーなのにうっすらと個人情報が見えてしまうことがあること。さらに「誹謗中傷」にあたると判断されたであろう部分でも批判されている個人名の名前が、そのままになっていたりもしていた。
 すなわち、開示請求を期間ギリギリの60日間に渡って引き延ばしたにもかかわらず、仕事が随分といいかげんなのだ。
 
 その上で、果たして答申素案にどれだけの反対・賛成意見が寄せられていたかを集計してみた。
 長々と文章を綴っている物が多いために、正確さを幾分か割り引く必要もあるが答申素案に部分的にも賛成する旨が記されているものは57件。さらに、完全に賛成する意見を述べているものは16件で全体の約1%に過ぎないことがわかった。

http://www.mangaronsoh.com/archives/2642543.html

昼間氏が1月に青少年問題協議会を傍聴した時には、賛成意見は1割にも満たなかったと

発言していましたが、


開示しない部分、つまり黒塗りになっている内容は、

1. 個人提出者の個人情報
2. 法人・団体提出者を特定しうる情報
3. 誹謗中傷を含む意見が述べられている部分
4. 前後の文脈を無視して青少年問題協議会等の議事録を抜粋し、その発言者に対する意見が述べられている部分
5. コメント中に書かれている特定の団体名およびその団体等に対する誹謗中傷を含む意見が述べられている部分

とのことだそうです。

法人・団体名を黒塗りにすることや青少年問題協議会の発言に対する意見を黒塗りにするのは全く理解ができませんし、

真っ当な意見が「誹謗中傷だ!!」と見なされているのではないかという非常に強い不信感があります。

そして、ますます東京都に対する不信感が増す一方なわけであります。


永山薫氏によれば、

西沢都議の事務所に4時前に入って、5時間弱、パブコメの山と格闘。どれもこれも反対反対反対、もう青少年問題協議会を「ナチス」「ファシスト」と呼ぶ人がいるかと思えば「極左集団」と呼ぶ人もいて、どっちやねん!

http://twitter.com/Kaworu911/status/13427257059

とのことですが、ナチスの正式名が「国家社会主義ドイツ労働者党」であることを考えると、

決して矛盾はしていないと思います。

「極右」「反日」「売国」「国賊」「日本解体」…とも呼ばれているんだろうな…

予想していた通り、青少年問題協議会議事録における特定委員の発言に対する批判は多かった。個人名と引用文はベタ塗りされているので特定不可だが、批判部分を読めば、ネットで話題になった某委員の発言であることが推定可能。

認知障害」発言の方に対するもののことを指しているのでしょうか…


さて、賛成意見もあるにはあるようですが、

※数少ない素案への賛成意見の例※

(画像)
 
 こうした中で目立ったのが「ジュニアアイドル規制には賛成するが創作物規制には反対する」というもの。
 また、「タスポのようなもので年齢認証を行う」「出版物にもゾーニングを設ける」という安易な代案的文章も、数多く見られた。
 いずれにせよ、素案に賛成する意見は思った以上に少なかった。
 つまり、答申の作成から条例に至る過程の中で、パブコメに記された意見が正しく反映されていなかったことは明らかになった。
 
 結果として、東京都には条例改定反対の意見が殺到し、次々と言い訳と見られかねない文章を提示するハメへと追い込まれているのだ。

と少ないようです。

ジュニアアイドルに関しては、実在する児童に対する性的搾取(まがい)が行なわれているから

規制すべきだと、表現規制創作物規制に反対する人の中にいてもおかしくはないでしょうね。


ただ、そもそも、青少年・治安対策本部に意見を正しく反映させることを期待している人なんて、

規制反対派にはほぼ皆無だと思いますが。


昼間氏は、まとめとして次のようなことを書いています。

 それでは、このところの取材活動で得た情報を記して行くことにしよう。
 3月中に条例が制定できなかったことで、担当の青少年課長・櫻井美香氏はかなり苦境に立たされているという話も聞く。
 「治安対策本部内で、櫻井氏は相当の叱責を受けている。“死ぬ気で条例案を通せ”と責められてかなり焦っている」(都庁関係者の話)
 
 こうして、反対論が日を増すごとに強まる中で5月6日には都議会総務委員会が開催され参考人招致の準備が進められることになる。6日は、挨拶と招致予定の参考人の紹介が行われる程度。参考人は自公から2名、民主、共産、ネットから2名の構成になる予定だ。
 ちなみに、自公は「原案のままで可決」の姿勢を崩して折らず対決が予想される。
 民主党は今月中に幾度かPTを行った後に今月中に修正案を提出予定。
 修正案の内容はまだ明らかにはなっていないが、これを通すためには民主内部の規制を唱える人々や共産、ネットも巻き込む必要があり困難が予想されている。
 「6月の都議会提出に間に合わせるためには、5月27日までの修正案の完成が必須。民主党内部にも未だに自公と同じく“原案のまま”をよしとする議員が存在するのがネックになっている」(ある新聞記者)
 
 民主党内で「原案のまま」を主張しているのは、笹本ひさし(江戸川区)・馬場裕子(品川区)・山口拓(世田谷区)の三人である。
 こうした事情もあり「改正案そのものに反対」は民主党とて出来ない。
 そこで、いかに修正案を組み立てるか。さらに、共産、ネットなど(他に無所属とかも)に民主党作成の修正案に賛成してもらうかが5月中の課題となる。
 民主党内の、改正案に反対している都議らも、修正案の内容次第では、これまでの市民からの反対の声そのものが萎んでしまう可能性もあるということで、かなり頭を悩ませている。
 
 市民の活動としても、これまでの都議へのメールや手紙の送付に一工夫(民主党以外の政党に民主党修正案に賛同を求めるなど)が必要となってくるだろう。
 
 3月以来、急速に燃え上がった都条例改定反対運動。それが、どこまで萎むことなく持続していくことかに注目していきたい。

(一部、引用者による太字強調あり)

これを見る限り、櫻井氏は青少年・治安対策本部の盾にされているような気もしないではありません。


なお参考人には、宮台真司氏、前田雅英氏らが承知され、漫画家に対する意見聴取も行なわれるとのこと。

昼間氏が「原案のまま」を主張している人に挙げている山口拓氏さえも、

「改正案を議会に提出した後に、都が広く説明しなければならないのでは順序が逆」と指摘し、「議論を尽くすことが必要だ」

と発言しています*1が、これからどう動くでしょうか…


良いか悪いかは別として、現実的には半永久的に先延ばしということになるのでしょうか…

意見を送る時には原案は廃案すべきだという前提で送るべきだと思いますけどね…


民主党側が修正案を検討し、東京都側も修正案を検討しているとのことですが、

その件に関しては中身が分からないとどうしようもないですね…

(ほんの少しだけマシにはなるでしょうが、東京都側の修正案は到底受け入れられる内容にはなるまい。)


動きが速い人はすでに動いているようですから、私も何通か手紙を出しておきましょうかね…