石原都知事4選阻止は困難な情勢か
東京都知事選の情勢が出ました。
石原氏、安定した戦い…知事選情勢
読売新聞社は、統一地方選前半戦の12知事選と4政令市長選(10日投開票)について、世論調査と支局などの取材を通じ、情勢を分析した。
与野党対決型の3知事選のうち、東京では、自民、公明両党の実質支援を受ける現職の石原慎太郎氏が安定した戦いを進め、宮崎県知事を務めた東国原英夫氏、都議会民主党が支援する渡辺美樹氏、共産党推薦の小池晃氏と続く。
http://www.yomiuri.co.jp/election/local/2011/news/20110402-OYT1T00909.htm
まあ、石原氏優勢は予想していたとおりなんですよね…
畜生め…
ご存知のように、自公が石原氏を支援、都議会民主党が渡邉氏を実質支援する形となりましたが、
石原氏の次は東国原氏、渡邉氏、小池氏と続くようです。
当然ながら、ドクター中松氏以下、泡沫候補は完全に無視されています。
東京は石原氏が大きくリード=東国原氏らが追う−12知事・4政令市長選【統一選】
統一地方選前半戦の12都道県知事選と4政令市長選は、10日の投開票に向けて終盤戦に入った。時事通信社が1〜3日に実施した世論調査の結果や取材を基に情勢を探ったところ、東京は4選を目指す現職の石原慎太郎氏が大きくリードし、元宮崎県知事の東国原英夫氏らが追う展開。ただ、投票態度を決めていない有権者が4割を超えており、情勢は依然、流動的だ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011040300169&j4
注目の首都決戦では、石原氏を東国原氏が追い、外食チェーン創業者の渡辺美樹氏と元参院議員で共産党が推薦する小池晃氏が続く。都知事選については「関心がある」と答えた有権者は90.7%。期日前・不在者投票を済ませたか、投票に「必ず行く」「たぶん行く」と回答した有権者は合わせて96.8%に上った。
時事通信では、「大きくリード」と伝えられています。
さらに別の記事では具体的な票読みも行なわれています。
民主・無党派層も石原=東京都【統一選】
4選を目指す現職の石原が、保守層のほか民主支持層や無党派層にも食い込んで抜け出し、これを東国原、渡辺、小池らが追う展開だ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011040300172
石原は、都内全域で安定した戦いぶり。男性、女性のいずれからも他候補を上回る支持を得ている。支持政党別では、自民支持層の約6割、公明支持層の約5割を固めたほか、民主支持層の3割近くに浸透。無党派層からも4候補で最も高い支持を得ている。
東国原は宮崎県知事時代の経験や元タレントとしての高い知名度から、20代を中心とする若年層から高い支持を得ているが、無党派層への食い込みがいまひとつだ。
都政運営に経営感覚を採り入れ、福祉・教育の改革に取り組む姿勢を強調する渡辺は、女性からの支持が少なく、伸び悩んでいる。小池は共産支持層の約6割を固めたものの、苦戦している。
私はこの記事を見て、石原氏4選阻止をあきらめました…
ひとまず、動向を見てみましょう。
自民支持層は6割、公明支持層は5割。石原氏は自公支持層を順調に固めている模様。
そして、民主支持層からも3割が石原氏支持、
無党派層については具体的な数値はないものの、石原氏が最も高い支持を受けているとのこと。
一方、東国原氏は無党派層への食い込みが今一つ。若年層から高い支持を受けている模様。
渡邉氏は伸び悩み。都議会党派が支援している民主党の支持層からどれだけの支持を固めているかは不明。
小池氏は共産支持層を確実に固めているが苦しい所。
となると、投票相手はただ一人。医師で前参議院議員の方のみです。
もはや私は当選阻止をあきらめました…
東国原氏は思った以上に無党派層に食い込んでいないように思います。
東国原氏はもう少し無党派票を取り込むことができると思っていたのですが…
票割れが起きたからなのかは、選挙結果を見ないと分からなさそうな気がします。
なお、前回の都知事選の時も民主党支持の2割、無党派層の4割が石原氏に入れたと聞いています。
そこから推測されるのは、石原氏に投票する層は党派を超えているということです。
中には、熱狂的な支持者も少なくないと思いますが、
石原氏が1999年に都知事に初当選した当時は、自民党は分裂選挙だったわけで、
少なくとも自公の党本部が支援していたわけではなかったと思います。
結局、「石原氏の他にろくな人がいない」というのは多くの人の共通認識と思われます。
自民党でさえ、「どうせ他にろくな人が見つからないから、石原都知事でいいんじゃないか」と
思っているように私は感じます。
訒小平が毛沢東に対する評価として用いた「七分功、三分過」のような評価を、
強く支持しているわけではないが石原氏に入れた人が下しているのではないかと想像します。
大躍進政策の失敗や、文化大革命など、三分の過ちがあっても中国が毛沢東を評価しているように、
新銀行東京の問題や、築地市場移転問題など、ちょっと問題があるな…と思っていても、
石原氏を支持する人が結構いると思います。
それがいいとは到底思えませんが、所詮それが現実と言ったところでしょうか…
それにしても、石原軍団は被災地に炊き出しに行かないのだろうか…
都知事選まであと2週間
いよいよ24日に都知事選が公示されました。
4選を狙う石原慎太郎氏と、前宮崎県知事の東国原英夫氏、ワタミの渡邉美樹氏、共産党推薦の小池晃氏のほか、
泡沫候補としては、発明家のドクター中松氏、スマイル党のマック赤坂氏など、計11名が出馬。
ちょうどその頃、福島第一原発の事故の影響で東京都の水道から乳幼児基準値を超えた放射性物質が検出され、
その後、数値が基準値を下回りました。
良くも悪くも石原都知事の特徴である、思った言動をすぐに取る行動力を活かして、
金町浄水場で水道水を飲むパフォーマンスをして安全性をアピールしました。
それを皮肉交じりの称賛をもって見ていました。
目をつぶっていて、おいしそうにはとうてい見えませんでしたが…
一方、東国原氏がこのようなことを言ってます。
東国原氏、漫画やアニメを「規制しすぎると産業が縮小する」
「漫画やアニメをあまりに規制してしまうと、産業が縮小してしまうのではないか」――東京都知事選に出馬を表明した東国原英夫・元宮崎県知事は2011年3月23日、自由報道協会(仮)の記者会見に出席。過激な性表現を含む漫画やアニメの販売を規制する東京都青少年健全育成条例についてこのように語った。
東国原氏はニコニコ動画の小野寺剛記者から「東京都青少年健全育成条例について賛成か、反対か。もし反対ならば、どのようにして条例を廃止していくのか」と問われると、「反対と賛成の中間の微妙な立場。条例がすでに通っている。あとは行政の中に入らないと判断材料がない」とした上で、
「(この問題は)コンテンツ・アニメ産業の経済という視点で語られるべき。あまりに規制してしまうと、産業が縮小してしまうのではないか。また、そうしたものに手を伸ばす・伸ばさないは、教育の問題なのではないか」http://news.nicovideo.jp/watch/nw44727
と述べた。さらに「可否を判断する審議委員会は本当に公正・公平な立場の方たちなのか。目に見える形で議論し、慎重な運用をしていくべき」とした。
もちろん「産業が縮小しないなら規制してもいいということか」といぶかる意見ももちろんありますが、
慎重と解釈もできなくはありません。もちろん、賛成派も「慎重な運用」を主張しているのですが…
少なくとも、積極的に推進しているというわけではなさそうに思います。
委員会の公正・公平性について懐疑的なように思えますし。
なお、東国原氏には、こんな問題発言があると指摘されました。
東国原知事の「徴兵制」発言 ネットで賛否両論の大騒動
http://www.j-cast.com/2007/11/29013948.html?p=all
東国原知事「愛のムチ」論 完全否定したあの教授
http://www.j-cast.com/tv/2008/06/19022057.html
思い出しました。そういうこともありましたね… ある意味、石原氏よりも軽薄な発言です。
そういった発言があったことはかすかに記憶にあったのですが、一応承知の上です。
何も、私は「東国原氏は規制反対派」だと思っているわけではありません。
少なくとも、反石原というほど強固でないにせよ、石原路線と距離を置く可能性が高いと思っています。
確かに、石原都知事を落選させつつ、都条例反対派を当選させることが理想だと思います。
しかし、現実的に石原氏を落選させる可能性があるのは東国原氏の他になさそうです。
当選可能性が極めて低いことを承知の上で小池氏に入れるべきだという意見もあります。
「通るか通らないかより『無視できない値』を数字にするのはすごく大きい」とか、
当選させることはできずとも、規制反対票を誇示する必要があるという意見があります。
確かに一理あります。私もそう考えてはみました。
ただ、接戦だったらどうなるのでしょうか。断トツで差をつけられるならともかく、
接戦だったら確実に足の引っ張り合いになってしまいます。
接戦の結果、石原都知事4選を許すことになったら、反石原勢は確実に内ゲバを起こすことでしょう。
規制問題とは別に、反石原陣営の中には、
「石原都知事を落選させるためであれば、他の2位以内に入れるべき」と考える人がいるのです。
私もこれに近い考えの持ち主です。
小池氏の票が伸びても、石原氏には蛙の面に小便をかけるようなものです。
石原都知事にひと泡吹かせたければ、当選を阻止すべきなのではないかと思ったわけです。
いい悪いは別として、選挙結果は(定数+1)位までの候補者に集中する傾向があります。
都議会民主党は渡邉氏を支援する方向ですが、私は小池氏の得票を下回ると予想します。
党を挙げての支援ではないですし、共産党は得票数の1割は固いですし。
情勢については、各メディアの世論調査の結果が出てくるはずですので、
それが投票行動に影響を与えると思います。
石原氏圧勝の情勢なら、小池氏の得票が伸びる可能性があるでしょうし、
接戦なら、反石原票は接戦の相手に流れると予想します。
いずれにせよ、もはや、どうあがいても石原都知事4選を阻止できないような情勢なら、
私も小池氏に入れる方向になると思います。
東国原氏が出馬表明する前は、私も小池氏以外にないと思っていましたよ。
最善の候補者ですし、何よりも、石原氏の当選を阻止できる可能性がある人は皆無なわけし…
あきらめにも似た感情なわけです。
とりあえず、まずは情勢を見なければ何とも言えません。
いずれにせよ、東京都の皆さん、必ず投票に行きましょう!!
都知事選のメンバー出揃う。
今更ながら、選挙タグを追加しました。
いよいよ、4月10日に東京都知事選挙が始まります。
2月までに日本共産党の小池晃氏、ワタミの会長、渡邉美樹氏が出馬表明。
神奈川県知事の松沢成文氏も出馬表明していましたが、
3月11日に出馬か不出馬かなかなか表明しなかった石原慎太郎都知事が正式に出馬表明し、
それを受けて松沢氏が出馬取り止めを表明。
出馬か出馬断念か、情報が錯綜していた東国原氏も22日になって立候補を表明。
東国原氏の日経の記事を紹介します。
東国原氏が出馬会見 築地市場移転の扱い「1年以内に成案」
前宮崎県知事の東国原英夫氏は22日夕の東京都知事選の出馬表明会見で、新銀行東京の再建問題について不良債権比率の高さや預金残高の減り方などを考えると、銀行業務としてなしているのか、地銀としてどうなのかという気持ちを持っている」と述べた。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381949EE0E0E294908DE0E0E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=DGXZZO0195164008122009000000
そのうえで「第三者委員会か審議会を立ち上げて、維持・縮小・法的整理・売却などあらゆる手段を考えて判断することになる」と語った。
築地市場(東京・中央)の移転問題については「地元の人は残したいという気持ちが多いのではないか」と指摘。「議会の決定を踏まえ、住民の意見を聞きながら完全に移すのかにぎわいを残すのか、土地の液状化現象などあらゆる要素を勘案して1年以内に成案を得る」との方針を示した。
夏季五輪の誘致については「2008年に北京で開催しており、この状況下でアジアに誘致するのは厳しい」としたうえで、「平和の祭典であり、日本に入ってくるのであれば広島・長崎を応援する形がいい。東京にも観光客が来て日本全体にも資する」との考えを語った。〔日経QUICKニュース〕
主要な争点の一つである築地市場については、住民などの意見を聞きながら1年以内に成案を得るとか。
要するに、住民から意見を聞いて判断材料にするということでしょうか。
少なくとも、石原路線べったりということはなさそうです。
さて、都知事選についてですが…
私は東国原氏に入れるつもりです。
それは、東国原氏が規制賛成寄りだろうと変わらないと思います。
なぜなら、石原氏を落選させうるのは東国原氏以外にいないからです!!
消極的な理由ですが、2002年のフランス大統領選の時、決選投票に残った、
極右のジャン・マリー・ルペン氏の当選を阻止するために
反シラクの左派さえもが、当時現職のジャック・シラク氏にこぞって投票したのと同じことです。
極右を当選させるなら、シラク氏の方がまだマシだということで、
「ファシストではなく、ペテン師に投票しよう」というスローガンが流れたほどです。
(共和国連合→)国民運動連合とフランス社会党という、保革二大政党制のフランスで、
その一端を担うフランス社会党が極右政党に敗れるというのは、
まさにフランスの左派にとってはショッキングだったわけです。
東国原氏の去就が不明な間は、小池晃氏に入れようと思っていました。
小池氏が規制反対派であることだけでなく、
石原氏の当選阻止については完全にあきらめていたからです。
東国原氏の出馬により、石原氏4選阻止という、私が都知事選において最大の焦点としていたものに
少しかもしれませんが、道は開けてきたと思います。
私は、石原氏4選阻止に主眼を置くなら、東国原氏以外の選択肢はないと考えております!!
大震災でちょっと思うこと。
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)とそれに伴う
福島第一原子力発電所の重大事故について、不安で仕方がありません。
石原都知事が蓮舫大臣と震災について協議した後の記者との会見で、
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110315k0000m040043000c.html
と相変わらずの暴言を吐きました。
後に謝罪撤回したましたが、何とも許せないと思いますし、
だからといって、この状態で他に東京都で動く人間はそうそういないわけですからね…
心が落ち着かないので、これぐらいで。
国旗損壊罪について思ったこと
「国旗損壊罪」刑法改正を提案へ 自民
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110223/stt11022316540010-n1.htm
自民党は23日の法務部会で、国旗「日章旗(日の丸)」を侮辱する目的で傷つけたり汚したりした場合に刑罰を科す刑法改正案をまとめた。議員立法で今国会中の提案を目指す。
刑法には、外国国旗を損壊すれば刑罰を科す内容が盛り込まれているが、日章旗については尊重義務や罰則がない。改正案では、「国旗損壊罪」を新設し、外国国旗と同様、「2年以下の懲役または20万円以下の罰金」を科すこととした。国会図書館によると、米仏独伊などの主要国では刑法や個別法で、自国国旗に対する侮辱には罰金や懲役を科している。
国旗をめぐっては、平成21年に鹿児島県内で開かれた民主党の地方会合で、主催者側が国旗2枚を民主党の党旗に変造し、指摘を受けた鳩山由紀夫代表(当時)が陳謝した。
予算をめぐって政局が混乱する中、自民党がこんなことを提案してきました。
確かに、愛国心の強い保守層から見れば、国旗を侮辱することは非常に不愉快極まりないものでしょう。
私だって他国の抗議活動で日の丸が燃やされているのを見ると非常に不快です。*1
そういえば、去年1月の在特会デモの時、反在特会の集会で日の丸に×を付けたものが掲げられていて、
非常に不愉快な感じがしたのは、どちらかといえば、国旗が汚されたことに対する物も多少はありましたが、
むしろ「余計なことをしてくれる」といったものだったと思います。
「在特会の連中を刺激するような余計なマネをしやがって…」と思ってしまったわけです。
中には日の丸を愛し、終戦記念日に靖国に参拝する人も反在特会の集会に参加したらしいですし…
あと、民主党の地方会合の件については、明らかに不愉快にさせる代物だと思いますが、
侮辱目的で行なわれた物ではないと思います。
なお、朝日新聞の報道によれば、
「君が代」の替え歌など国歌への侮辱に刑事罰を科す改正案も検討する。
http://www.asahi.com/politics/update/0302/TKY201103020333.html
君が代の替え歌なんてあったっけ!?と思ったら、君が代斉唱に反対する人が
その場を取り繕うために編み出した替え歌があったのを思い出しました…
替え歌とは、それのことを指しているのでしょうか?
それにしても、この記事だけではどういう物を対象にしているのかが良く分かりませんね…
余談ですが、青少年健全育成条例反対論で、君が代強制をを引き合いに出す言説に
私は若干の違和感を覚えていたのですが、
それは強制する主体が東京都であって国ではないからです。
一審で強制は違憲、二審で合憲の判決が出ましたが、最高裁ではどうなるのでしょうかね…
その侮辱の内容によっては、強制しないというものと相反する物になりますがね…
ちなみに、私は国旗・国歌には最大限の敬意を払わなければならないと思っております。
少なくとも、私は学校行事などの場で国歌斉唱があった場合には必ずします。
しかし、全面的賛成だけはしかねます。
侮辱というのがどの程度の物なのかが分からないからです。
もちろん、国旗、国歌に対する侮辱が許せないという感情は良く分かりますが。
その一方で、この問題で忌野清志朗の「君が代ロック」がクローズアップされていたので、
聞いてみて、不謹慎にも笑ってしまいました…
発想は面白いとは思いますが、私はあまり聞かない方がいいと思っています。
ちなみに、国旗国歌法では国旗の寸法について厳密に定められています。
さて、気になることがあります。
「日の丸弁当を食べただけで罪になる」という言説が揶揄で言っているのか、本気で言っているのか
時々分からなくなってしまうことが私はあります…
どう考えても日の丸弁当を食べることは侮辱には当たらないと思うのですが。
まあ、少なくともそれは確実に言えることです。
自民党は他にやるべきことがあるはずだ!!
国旗損壊罪を導入せずとも保守票は逃げたりしませんからね…
*1:他国と言っても、日の丸を燃やす国といえば、ある少数の国でしょうが…
京都府の廃棄勧告条例案について
全国初の児童ポルノ廃棄命令、所持も禁止 京都府アニメ除き条例化へ
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110222/lcl11022213570002-n1.htm
京都府は22日、児童ポルノの取得・所持を禁止し、違反した場合に廃棄命令を出すことを盛り込んだ条例を制定する方針を固めた。平成23年度中の制定を目指す。同日、府の有識者会議が検討結果をまとめた。
府によると、廃棄命令付きの条例は全国で初めて。児童買春・ポルノ禁止法では規制対象となっていない提供目的以外の「単純所持」も禁止し、廃棄を進めることで被害児童の救済を図る。
検討結果によると、18歳未満が被写体となった性行為などの画像や映像が対象。廃棄命令に従わなければ罰則を科すことも検討する。性的虐待が明らかな13歳未満の画像などを有償で取得した場合は、廃棄命令を待たずに刑事罰を科すのが適当としている。アニメなどは対象外。
山田啓二知事は22年4月の知事選のマニフェスト(公約集)に「日本で一番厳しい児童ポルノ規制条例の制定」を掲げていた。
朝日新聞の記事では、東京都、大阪府、宮城県の状況が簡単に説明され、園田寿氏の
「個人の所持を刑罰で規制することまで議論が尽くされておらず、児童ポルノの定義もあいまい。プライバシーを侵害する恐れもあり、過剰な規制にならないか懸念する」
http://www.asahi.com/national/update/0222/OSK201102220050.html
とのコメントが載っています。
読売新聞では
わいせつ画像と動画の定義は、児童ポルノ禁止法に準じて、〈1〉児童の性交または類似行為〈2〉児童の性器等を触ったり、児童に性器等を触らせたりする行為〈3〉衣服の全部または一部をつけない児童――などとする。〈3〉に該当する画像、動画のうち、廃棄命令の対象となるのは「全裸か性器露出」と決めた。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/news/20110222-OYT8T01174.htm
と規制の対象が説明されています。
毎日新聞の記事では京都府内での議論について、他の記事より踏み込んだ内容になっていて、
3月末までに知事に報告されることと、府民から意見を募る手続きを経ることに言及されています。
どの記事でも説明されているように、この中で提案されているのは廃棄命令形式です。
所持規制の対象となっているものを所持している人に対して府が廃棄命令を出し、それに従わなかった時点で初めて処罰対象になる。
というのものです。ただし、13歳未満のものを有償で取得した場合は廃棄命令無しで処罰対象です。
児童ポルノの定義の曖昧さはしばしばこの手の問題でクローズアップされますが、
どうも、廃棄命令形式をとれば冤罪の心配をする必要はないだろうという理屈のようです。
廃棄命令が出なければ、処罰の対象にはなりえないわけですから、ただ鉄道や自動車で通過するだけで
この条例の処罰対象になるということはほぼあり得ないと思われます。
確かに、冤罪は少ないかもしれませんが依然として問題は山積みです。
しかも、読売新聞の記事の説明を見る限り、3号ポルノの
「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」
よりも広いと受け取るのが自然なような気もしますし、
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」でなくとも、廃棄命令等の対象になる恐れが高いような気がします。
少なくとも、グレーゾーンの過激なその手の写真集は確実に引っ掛かりそうな気がします。
私はその手の写真集は販売等を規制しても構わないんじゃないかと思わなくもないですし、
摘発例もいくつかあるようですが、最高裁判例や下級裁判所の裁判例が出ていないので
それが児童ポルノに該当するのか、あるいは判例における児童ポルノの定義がどうなるのか気になるので、
是非ともその手の写真集が摘発された際には、その関係者は最高裁まで争っていただきたいのですが。
京都新聞のコラムでは
求められる慎重判断 府、児童ポルノ規制条例化
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20110201000017
京都府の児童ポルノ規制検討会議は31日、写真や映像の単純所持・取得を禁止し、廃棄命令や罰則など全国でも厳しい規制を児童ポルノ規制条例案に盛り込むよう求める方針を打ち出し、府はこれにに沿って条例案を策定する考えだが、実現には難しい課題も多い。
児童ポルノの単純所持・取得禁止は、現在の児童ポルノ禁止法では取り締まれない収集者や愛好者に一定の制限を設けて、児童ポルノの製造や流通、拡散を防ぐ狙いがある。
単純所持・取得禁止を徹底させるため廃棄命令という手段も必要とした。命令は刑罰でないため、知らない間にメールなどで児童ポルノが送りつけられても罪に問われる事態を防ぐ利点もある。
ただネット上に児童ポルノが氾濫(はんらん)する現状では、府内のみが対象の条例には限界がある。児童ポルノの定義の解釈も難しく、捜査機関の恣意(しい)的な判断を招き、表現活動を萎縮させる恐れもある。こうした課題解決が今後の焦点になる。
今回、規制強化を目指すのは、山田啓二知事が昨年4月の知事選で「日本一厳しい条例を作る」と訴えたのが始まりだが、全国的にも影響を与えるとみられ、慎重な判断が求められる。
と、廃棄命令は単純所持規制よりも冤罪の危険性が低いと指摘しつつも、
定義の解釈の難しさと表現活動の委縮への懸念、全国的に影響を与える可能性にも言及されています。
全体的には慎重です。積極的に反対すると言うほどではなさそうですが。
京都新聞のコラムの作者の苦労を感じさせます。
いずれにせよ、これは一部で話題に上る、
「表現の自由や冤罪の危険性を掲げた反対論には限界がある」という話を裏付けそうになりそうです。
「単純所持規制が児童の保護につながる」という言説に対抗し、説得力を持たせるのは極めて困難なのです。
創作物ならまだしも、実際の児童の、それも誰もがおぞましく感じるような代物だったらどうなのか。
少なくとも、私は反論する自信は全くありません…
創作物や単なる裸の写真だったらまだしも、ひどい代物だったら反論はできないでしょう…
さて、早ければ3月にもこの条例案に関してパブリックコメントが募集されるそうです。
特に、京都府民の皆さん、是非とも意見を送ってください。
その際には改めて報告します。
石原都知事の一般質問
先日、2月16日の都議会の一般質問において、民主党の栗下善行都議が国際アニメフェアボイコット問題に関連して、
東京都が石原慎太郎知事名義でコミック10社会に宛てて参加を要請する書簡を送ったことについて追及しました。
ボイコットに対して石原都知事が
「どうぞ、だったら、おやりください。吠え面かくのは、向こうだと思うよ」と発言したことに対し、
言行不一致を批判する意味での追及であると思われます。
別に東京都側が知事名義の書簡を送っても何ら不自然はないと思いますが、
これは明らかな言行不一致で批判されるのは当然でしょう。
はてなで書き起こしている人がいますので、そこのリンクを張っておきます。
都知事が出版各社に宛てて送った書簡(都議会本会議の録画映像から書き起こし)
http://d.hatena.ne.jp/YawChang/20110217/1297941278
石原都知事の発言についてid:YawChangさんの起こしたものを手直ししたものを載せます。
栗下善行議員の一般質問にお答えいたします。
アニメフェアの開催についてでありますが、改めて申し上げるまでもなく、漫画・アニメは、我が国が生んだ独自の文化でもあります。新しい才能を見いだし、世界に発信しながら、産業としても一段と発展させるために、都しても、アニメフェアに協力してきました。そうした漫画・アニメの重要性や、その発展を願う気持ちは、出版界、漫画家の皆さんと、変わりません。
こうした思いを込めてですね、先般も、出版社各社に私のメッセージを送りましたが、今日、アニメフェアの開催を巡って、こうした状況になった事は極めて残念であります。
多くの漫画やアニメが、子供達に感動を与えてきた。一方で、漫画やアニメが子供達に与える影響も非常に大きいんです。先般のブラジルの世界大会では、今回問題にした種類の漫画も含めてですね、児童ポルノと言うものがこれだけ野放しになっている国は日本だけだ、何とかしてくれと言う要請がありました。
今、卑しい卑しくないってありましたがね。あんた、小学校の先生と子供が同棲して生活する、近親相姦する、あるいはですね、親子の近親相姦、兄弟の近親相姦、そういう歪んだ性愛というものを書いて、金を儲けている人間って、私は卑しいヤツだと思いますなぁ。
しかし、しかし!
そうした自主的な努力、従来の条例を持っても、なお強姦などの犯罪行為を賛美する一部の漫画を子供がたやすく手にとる事が出来る事態が存在している訳でして、今回の条例改正はこうした事態の改善を望む都民の思いに、まさしく答えるためのものであります。
子供を健やかに育てる事は、大人の責任でありまして、そのために全力を尽くさなくてはならないと思います。
もとより、本条例は出版業界が懸念するような、表現を規制し、創作活動を萎縮させるものでは決してありません。さらに、議会の付託決議を踏まえて条例を運用して参ります。
なお、栗下議員に申し上げますが、条例は栗下議員も賛成して改正された物ですな。しかし、ただいまの質問を聞いておりますと、なぜ質問をしたのか、と言う思いを禁じ得ません。
あなたはかつて、オリンピック関係の問題について、スタッフが身分を偽って調査した結果を元に、本会議で質問をし、後に非を認め、謝罪した事もあったじゃないか!
都民から得られた、都議会の責任の重み、都議会の最大の権威のある、議決行為そのものの重みを貶めたとの謗りを後々受けないように、ご忠告を申し上げます。
他の質問については、関係局長から答弁します。
リオデジャネイロ会議に言及し、趣旨を取り上げています。もちろん、内容は規制しろという代物です。
おそらくは、自分で知ったのではなく、青少年・治安対策本部の担当者の方の入れ知恵と推測されます。
「小学校の先生と子供が同棲して生活する」漫画って、たびたび槍玉に挙げられていたヤツのことでしょうか?
石原都知事は「近親相姦」を繰り返し強調。あんたも好きねぇ〜♪(って、違うと思う…)
そして、それらの漫画を書く人は卑しい奴だと、相変わらずの発言で、撤回するつもりは毛頭ない模様。
全く馬鹿馬鹿しい限りです。
「多くの漫画やアニメが、子供達に感動を与えてきた。」と高評しておきながら、その一方で卑しい奴とは…
さらに、栗下氏のスタッフがオリンピック誘致に関して、身分を偽って調査を行なったことを槍玉に挙げ、
何故青少年条例について質問したのかと一喝。
これは明らかに論点のすり替えですね。
その件に関して栗下氏サイドに問題があったのは間違いないと思いますが…
また、石原都知事は「お前も賛成しただろ」と言った感じの発言をしましたが、
確かに賛成しましたとも。
しかし、党の方針として賛成に回ったとしても栗下氏は本心反対だったはずですし、
別に賛成だろうと反対だろうと、この質問をすることに関して何の問題もないと思いますが…
と、いろいろ突っ込みどころが多い石原発言ですが、
Togetterにまとめられている
20110216【速報】卑しい職業のマンガ家の皆さん東京都のアニメフェアに参加しましょう
http://togetter.com/li/101744
も併せてご覧ください。
都知事選についてはメンバーが出揃ってから改めて書きます。
石原都知事は4選を目指す方針らしい(ただし、まだ正式表明はなし)ですので、今の段階では
石原氏を落とすことを最優先にした方がいいのかもしれないと考えておりますが、
まだメンバーが揃わないと見解をきっちり述べるのは難しいと思います。