フィリピンの児童ポルノ法について

一応、簡単に触れておきます。

児童ポルノ:フィリピン、規制審議 被害「最多国」汚名返上へ 単純所持も禁止に


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 国際社会で児童ポルノ取り締まり策が論議を呼ぶ中、フィリピン下院(定数250以内)は児童ポルノの単純所持やネット閲覧を禁じる厳格な児童ポルノ禁止法案審議を進めている。法案には下院の過半数が賛成する見込みで、年内成立の可能性がある。同国はネットや書籍・ビデオ販売などで流通する児童ポルノの発信源の一つ。その「商品」に使われる被害児童の多さでは筆頭に挙げられる。児童ポルノ規制強化の動きは、単純所持を禁止しない日本などにも影響を与えよう。【マニラ矢野純一】


 法案は規制範囲として児童ポルノを写真やビデオに加え、性描写目的の漫画も含めている。販売目的の所持だけでなく、単純所持や意図的なネット閲覧やダウンロードも禁じた。違反した場合は禁固6〜12年。インターネットの接続業者(プロバイダー)や、児童ポルノ関連のホームページ開設者も処罰対象になる。


 フィリピンではこれまで児童ポルノを労働法や人身売買法の枠内で規制するだけで、児童ポルノを定義して規制する単独の法律がなかった。そのため、未成年者を対象にした売春容疑などでしか摘発できなかった。規制が緩いことから、各国の捜査機関は児童ポルノをネット上に流す抜け穴の一つにフィリピンがなっていると指摘してきた。


 日本の捜査当局がこれまでに押収した児童ポルノの画像の中には、比国内で撮影されたものが多く含まれている。また、日本の児童ポルノの漫画が同国を発信源にネット上に流される例もある。


 法案提出者の一人で下院・児童福祉委員会のテオドロ委員長は「貧困から親が子供を児童ポルノのモデルに使って、その収入を生活費に充てているケースもある」と語る。比国ネット上では、法案に対して「表現の自由を侵す」「捜査権の乱用につながる」との批判も飛び交っている。


 テオドロ委員長は「表現の自由といっても子供の性を食い物にしていれば問題だ。また、きちんと(児童ポルノに使おうとした)証拠を集めれば、(違法かどうか)判断できる」と力説する。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090511ddm012030079000c.html

この問題ではネットに非常に嫌われている毎日新聞の記事です。

それにしても、フィリピンに児童ポルノを取り締まる法律が存在しないとは知りませんでした。

東南アジアは児童に対する性的搾取が多いところなんですけどね…

それにフィリピンはアメリカの旧植民地で、英語人口もアジアで最も多いそうですが、

何故、今まで児童ポルノを取り締まる法律が一切なかったのかは不思議で仕方がありません。


さて、表現規制に関しては、次のような物をやり玉にあげています。

 日本の児童ポルノ漫画を翻訳するフィリピン人女性は胸中を悲しげに話した。「生活のためには仕方がない」。マニラ首都圏に住む20代の女性は周囲を気にしながら、翻訳中のポルノ漫画を見せてくれた。未成年と分かる制服を着た少女や、小学校の校庭を舞台にした絵が描き出されていた。


 女性は児童ポルノなどをネット上で販売する会社で翻訳のアルバイトとして働いている。「仕事を失いたくない」と匿名を条件に取材に応じた。


 「日本の漫画に興味がある人」という求人をネット上で見つけ、応募した。給料は、同国の公務員の平均月収とほぼ同じ月額約1万5000ペソ(約3万円)。小学生の娘と2人暮らし。この収入だけが生活の支えだ。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090511ddm012030079000c2.html

毎日の記事が言う「ポルノ漫画」が成人向けのものを指しているのだとすれば、

フィリピンで正規に出版されているとは考えにくく、海賊版だと考えるのが自然です。

規制すべきという根拠に海賊版を挙げるのはばかばかしい話ではないでしょうか?


さて、そのインタビューに答えているフィリピン人女性はどんな人なのかを考えてみました。

自分のパソコンを持っているぐらいですから、比較的裕福なように感じます。

それにしても公務員の平均月収とほぼ同じって高いのか安いのか…

と思って調べてみたら、

フィリピンの平均月収は工場のワーカー(労働者では結構いい給料をもらえる方のひと)でだいたい4000〜5000ペソ(1万円くらい)。
(引用者注:2003年の記事5月)

http://www.sega-mechatro.com/mtv/mgj/philip02.html

とあるぐらいだからやはり裕福なようですね…


こういう途上国の問題を見ると、スラム街にスポットを

当てなくていいのかと思ってしまいます。あまり品がいい言い方ではありませんが、

スラム街には性的搾取されている子供たちが結構いるはずだと思いますが、

毎日新聞はこういった場所には取材に行かれたのでしょうか?

途上国でのこういった性的搾取の根源は何と言っても貧困に他なりませんが。



さて、ブックマークのコメントを見ても毎日新聞を批判する内容ばかりで新鮮味がないなと思った中、

気になったのは、id:Quietworksさんの以下のコメントです。

公務員の給与を引き上げないと規制逃れのための賄賂が常態化しそう。あと、翻訳者の女性が自分の娘を搾取しているかのような誤解を与えていないか。

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090511ddm012030079000c.html


ああ、なるほど!! 途上国にはこの問題があったか!!


と楽観してはいられません!! 賄賂がまかり通るということは、

児童ポルノ業者が警察に賄賂を渡すことで見逃してもらうという事態が起きる可能性が

非常に高いということです。これでは、性的搾取に苦しむ子どもを守ることができません!!

現に、ある日本人旅行者の体験としてこんなものがあります。

 私はやおらポケットに手を入れ100ペソ札(日本円で220円くらい)を取り出す。ムチ担当が強気に横に顔を振る。私はさらにもう一枚100ペソ札を取り出して見せてみた。ここでアメ担当の笑顔がこれ以上ないくらいほころび、顔を縦に振り出す。で、それをムチ担当おじいさん係員に渡そうとすると、なぜかまた顔を横に振り否定の仕草。私が困惑していると、アメ担当おばさん係員の方があごで床を指し示す。「床に置け」と言っているらしい。黙って合計200ペソを床に置くと、今までモッタリしていたおじいさんが目にも止まらぬ速さでそれを拾い上げ、手のひらを返したように笑顔になり「行ってよいよ!」だって。つまりは直接手で受け取るとやばいので、床に落としたモノを拾ったんだという口実を作りたかったようだ。

http://www.sega-mechatro.com/mtv/mgj/philip02.html

調べてみると、警察が公然と賄賂を要求する例が後を絶たないそうですし…



結局何が言いたいかというと、

フィリピンの国会議員は創作物規制や単純所持規制よりも、

賄賂対策をすべきなんですよ!!

そうでなければ、児童ポルノ規制はザル法になってしまうではないか!!



もちろん、規制推進派はフィリピンで創作物規制と単純規制が成立したことを

てこに、日本でも停滞している児童ポルノ法改定を通したいという意図が見え見えです。


まったく、毎日は油断も隙もありゃしない!!